養父市おおや堆肥センターの堆肥分析結果、施肥知識について
養父市おおや堆肥センターの堆肥分析結果について
令和6年9月9日に、外部の分析機関で実施した「養父市おおや堆肥センター」の堆肥分析結果は次のとおりです。
分析項目 | 単位 | 現物中 | 乾物中 |
水分 | % | 27.96 | |
全窒素 | % | 2.409 | 3.344 |
リン(P2O5) | % | 2.180 | 3.027 |
カルシウム(CaO) | % | 1.568 | 2.177 |
マグネシウム(MgO) | % | 1.093 | 1.517 |
カリウム(K2O) | % | 3.395 | 4.714 |
灰分 | % | 6.61 | 9.18 |
全炭素 | % | 34.10 | 47.35 |
C/N比 (炭素率) | 14.15 |
◆水分率に伴う各成分含有率(%)の補正計算例について (参考)
- 乾物中(%)=現物中(%)×100÷{100-分析時の水分率(%)}
- 水分率が変動した場合における現物中の値(%)=乾物中(%)×{100-現物の水分率(%)}÷100
来場者へ販売しているバラ堆肥です。
【堆肥の販売方法】
・バラ堆肥、小袋堆肥で一般販売
・フレコン袋堆肥で市内配達販売
・田畑への散布 (市内指定地域)
高温で発酵させた完熟堆肥について
生鮮野菜生産者等が使用する堆肥は、「栽培から出荷までの野菜の衛生管理指針(令和3年7月30日改定、農林水産省)」に基づき、製造時に高温発酵していることが求められています。
- 食中毒を起こす菌を死滅させるために、発酵温度を55℃以上に保つこと。
- 雑草種子を死滅させるために、発酵温度を60℃以上に保つこと。
◆野菜の衛生管理に関する情報 (農林水産省・外部リンク)
おおや堆肥センターでは、発酵槽の内部温度が最高80~85℃に達しています。
また、60℃以上の連続発酵温度帯も確認されており、完熟した堆肥となっています。
肥料の三要素について (マメ知識:基礎編)
元気な野菜が育つためには、水と光だけでなく十分な栄養が必要です。
その必要な栄養成分には大きく「窒素、リン酸、カリ」の三種類があります。
1.窒素(N)
葉が肥えます。
- 葉や茎の生育を促進させます。
- 植物にとって、葉が光合成を行うことで成長に必要な成分を合成します。そのため葉の成長は植物自体が成長するために最も重要な役割を担っています。
- ほうれん草、小松菜のような葉物野菜には、窒素比率の高い肥料を選びます。
- 施肥のタイミングは、全体の葉の色が薄くなったり、草丈が伸びないなどの症状が現れた時には、与えるのが良いでしょう。
2.リン酸 (P) (P2O5)
実・花が肥えます。
- 花を咲かせたり、実を実らせます。
- トマト、ナスのような実をならせる野菜には、リン酸比率の高い肥料を選びます。
- リン酸は一度与えると効果が長持ちするので、元肥として使用するのが良いでしょう
3.カリウム (K) (K2O)
根が肥えます。
- 茎や根を丈夫にし、耐病性を高めます。
- 根を食べる野菜、ジャガイモ、人参には、カリウム比率の高い肥料を選びます。
- 野菜が枯れたり、根が腐る、害虫の被害を受けやすくなった症状が現れたら、カリウムが不足していることが考えられます。
堆肥を与えた土への効果について (マメ知識:堆肥編)
堆肥は、化学肥料とは異なり自然由来の原料を用いて、微生物の力を借りて製造しています。
一般的に有機肥料としての堆肥を与えた場合は農地の土づくりに、次の効果があるといわれています。
1.土をフカフカにする。
- 堆肥中には隙間があるため、土が軽くなります。
- 堆肥中の隙間に、土壌有機物が増えるので通気性、保水性、排水性が良くなります。
- 有機物が分解されると、腐食ができ、これが土の粒子をくっけて土の団粒化が進み、さらに土の粒子の間にも空隙ができます。
- 土全体が、通気性、保水性、排水性が良くなり、結果的に土がフカフカになります。
※「団粒化された土」とは、土壌の粒子が、小さい粒々を形成していている状況をいい、通気性、保水性、排水性が向上します。
2.土の保肥力を高める。
- 有機物からなる堆肥に含まれる成分には、養分を吸着する力があります。
- 土が団粒化が進み、団粒構造になると肥料分を蓄える力が増し、肥料焼けや、肥料が流れ出す心配が回避できます。
- 有機物が分解されてできる腐食には、肥料分を吸着する働きがあり、保肥力が高まります。
3.土中の生物の種類と量が増加する。
- 有機物として投入した堆肥は、土壌微生物の餌となります。
- 堆肥自体にも、多数の微生物がついているため、土壌微生物の種類と量が増加します。
- 土中の微生物が増えると、有害な微生物を抑制する働きがあり、有用微生物が増加します。
- 土壌微生物が多いと、特定の微生物や生物が異常繁殖することが減るため、病害虫の被害が出にくくなります。
- また、根のまわりには、多数の根圏微生物が生育し、病原菌の進入を阻止するため病害が少なくなります。
4.微量要素と三要素を供給する。
- 堆肥には、植物の成長に必要な微量要素と、三要素(窒素、リン酸、カリ)が含まれています。
- 微量要素も肥料として、植物へ供給され、生育を助けます。
- 幅広い肥料要素により、間接的に植物の生育を助けます。
適正な施肥量について (マメ知識:肥料編)
1.「化学肥料」と「堆肥」の使用について
- 「化学肥料」は、人工的に化学合成された肥料で、素早く植物に吸収され生育に直接影響しますので、植物の生長には欠かせません。
- 化学肥料だけを多用すると、土に腐植質がないために微生物や小動物が少なくなり、土の団粒化がなくなり、結果的に土が固く「土が痩せた状態」になります。
- 有機肥料としての「堆肥」をバランスよく使用することにより、土壌が改善され、植物の生長、収穫、品質の改善につながることになります。
2.稲作への堆肥施用について
- 現在、稲作栽培にはお米の収穫に必要な成分を程よく配合された「化学肥料」が使用されています。ただし、化学肥料に頼りすぎると、地力が偏ってしまい、稲の茎部分が細く弱々しくなり、倒伏の原因になると言われています。
- お米は肥料、堆肥のやり方で、地力が向上し「食味」が随分違うといわれています。
当センターの堆肥散布農家からは、「1粒のお米の大きさが大きくなって、美味しくなった」等のご感想も寄せられています。 - 稲作の場合、肥料をやりすぎると「窒素過多」が発生し、稲の茎や葉が成長しすぎて軟弱になり倒伏の原因となりますので、全体の施肥量(特に窒素量)を調整してください。
3.肥料、堆肥の適正施肥について
- 作物に適した肥料成分(窒素、リン酸、カリ)を考慮し、適正に施肥してください。
- 肥料、堆肥を過多量施肥すると、発芽不良、生育不良、肥料による作物焼け、実の巨大化、葉っぱ茎のみの伸長等の生育障害が発生することがあります。
4.環境に配慮した施肥基準について
化学肥料や堆肥などの施用は不可欠ですが、環境に配慮した施用を行うことも必要となります。
各都道府県では、各作物別に「施肥基準」等を定めて公表していますので、参考にしてください。
(参考:外部リンクPDF) ひょうごの土づくり指針(平成30年3月・兵庫県農政環境部)
- 各都道府県の施肥基準では、作物名、地域区分、土壌区分等における標準の三要素施肥量が掲載されています。
5.営農計画に係る施肥計算について
- 化学肥料袋に表示されている「8-8-8」「14-14-14」「14-8-8」等は、「窒素-リン酸-カリ」の各成分含有率(%)を表示しています。
化学肥料の施肥計算は、使用する各肥料に対して、施用量(kg/10a) × 各成分含有率(%) の式により計算します。
- 畜産堆肥の施肥計算は、施用量(kg/10a) × 各成分含有率(%) × 「肥効率 (化学肥料を100とした比率=10%~90%) (畜産種別、三要素別に異なる値)」の式により計算します。
- 実際の栽培計画としては、作物の種類ごとに肥料及び堆肥等の施用量の計算を行った後、試験栽培等を行い、土壌条件・地形条件・気象条件・営農条件等により、作物の生育状態を観察し適時補正することとなります。
堆肥の分析結果に係る表示値について (マメ知識:用語編)
1.「C/N比」、又は「炭素比」とは
- 堆肥の中の、炭素(C)と窒素(N)の質量比を表示しています。
- C/N比が小さいと、きわめて分解されやすい資材となります。
- 炭素率と水分量、空気量のバランス良くすると、微生物は活発に活動してくれます。
次に掲げることを参考にして、目的に合わせて堆肥を選択するとよいでしょう。
- C/N比が、10以下のものは
・肥料効果が高く、作物への堆肥効果をすぐに期待する場合に使用します。
・「即効性」があり、約3か月間において肥料効果が高く現れます。
・土壌改良剤としての効果は、あまり期待できません。
・堆肥の種類としては「鶏ふん」等で、C/N比は6~8位が一般的です。 - C/N比が、10~20のものは
・堆肥効果を期待するとともに、土壌の物理性、生物性を改善したい場合に使用します。
・堆肥効果は「遅効性」です。
・堆肥の連年施用の場合、3年目以後に肥料効果が最大となります。
・土壌改良剤として期待できます。
・堆肥の種類としては「牛ふん」等で、C/N比は10~20位が一般的です。 - C/N比が、20以上のものは
・時間をかけて土をフカフカな状態にするなど、土づくりをする場合に使用します。
・堆肥の種類としては「バーク堆肥」「腐葉土」等で、C/N比は20~50位が一般的です。
2.腐熟、完熟とは
堆肥の「腐熟・完熟」等の表現には文献により様々な解釈があります。本施設では次の解説例に基づき説明を行っています。
- 「腐熟」とは、有機物資材を土壌に施用しても作物に生育障害を起こさせないで、土壌微生物に活動のエネルギーを十分与えて地力を維持し、作物の生産性を高めるような成分を持つような到達目標に腐朽させた状態をいう。
- 「完熟」とは、長期間の堆肥化処理を行って有機物の大部分が分解され、ほとんど不活化に近い状態になったものではなく、堆肥がまだ十分なエネルギーを維持しながら、作物に生育障害を起こすことがなくなった時点を完熟というべきである。
[堆肥化施設設計マニュアル(中央畜産会編)]を参照
お問い合わせ先
〒667-0306
兵庫県養父市大屋町宮垣480番地
養父市おおや堆肥センター
電話/ファックス 079-669-1812
堆肥センターサイトマップ(リンク)
農林振興課
〒667-0198
養父市広谷250-1
電話番号:079-664-0284
ファックス番号:079-664-2528
更新日:2024年10月15日