まちの文化財(188)和奈美神社の伝承

更新日:2020年10月30日

円山川を望む丘にある和奈美神社

円山川を望む丘にある和奈美神社

和奈美神社の本殿

和奈美神社の本殿

下網場区の円山川を見渡す丘の上に和奈美神社が鎮座しています。和奈美神社は、平安時代に編集された延喜式(えんぎしき)に神社名が記載された式内社(しきないしゃ)という格式をもっています。神社には祭神として天湯河板挙命(あめのゆかわたなのみこと)が祀られています。

『古事記』や『日本書紀』には但馬に関係した伝承も紹介されています。垂仁天皇の皇子である誉津別(ほむつわけ)は言葉を声にして出すことができませんでした。天皇と一緒に御殿の前で、クグイという白鳥が空を飛んでいくのが見えました。これをみた王子は「あれは何者ぞ」と言いました。喜んだ天皇はこの鳥を捕らえるように命じました。天湯河板挙命はこの鳥を出雲で捕らえたといいます。そして異説として但馬国で捕らえた、越国(こしのくに、新潟県)の和奈美の水門で捕らえたという説が紹介されています。

『八鹿町史』では、「和奈美とは鳥を捕らえる道具であり、網場という地名は網を張った場所を暗示している。だから但馬の網場でクグイを捕らえたのだろう。また本居宣長は『古事記伝』の中で、捕獲の成功を祈った場所が和奈美神社ではないかと述べている」と説明しています。

クグイは、鶴やコウノトリなどの大きな白い鳥のことです。この伝説の場所は、但馬地方に2か所あります。和奈美神社と豊岡市下宮の久久比神社です。平安時代に存在が確認できる和奈美神社にも大きな意味があります。現在では白鳥を捕らえた場所だから網場という地名になったと言われています。和奈美神社と網場の地名は相互に関連していると説明されています。昭和初期まで、養父市場から下網場付近にもコウノトリが生息地していました。

この記事に関するお問い合わせ先

歴史文化財課
〒667-1105
養父市関宮613-6
電話番号:079-661-9042
ファックス番号:079-667-2277

フォームからお問い合わせをする