まちの文化財(181) 円通寺と木村梁舟

更新日:2020年03月27日

襖に描かれた龍の頭部

襖に描かれた龍の頭部

波の間から飛たつ龍

波の間から飛び立つ龍

太公望の図

太公望の図

虎の図

虎の図

 

能座集落では最も高い見晴らしのよい山の斜面の高台に円通寺があります。円通寺には、明治元年(1868)に京都の日本画家である木村梁舟(りょうしゅう)が描いた襖絵が残っています。本堂は禅宗寺院の建築様式であり、本堂の6室に襖絵42面が残っています。

本尊の正面にあたる中央の空間には、4枚組の襖が左右と中央の三方向に配置され、12枚の襖を使って一つの雲龍図を墨で描いています。

本尊に対面する襖4枚には、渦を巻く波の中から黒雲とともに昇る龍の下半身を描きます。頭部は襖の外にはみ出して描かれていません。その右側には襖4枚に大きく逆巻く波を描きます。また、左側の4枚には龍が雲の間から顔だした姿を描いています。襖絵12枚で龍の物語りを表現した大作です。襖には「治元年戊辰、梁舟図」という署名があることから、明治元年の制作と判断されています。

隣の部屋には呂尚(ろしょう)と文王の図が襖8枚に描かれています。古代の中国で文王が呂尚を宰相として迎え、殷を滅ぼして天下を取った故事を示した有名な図です。呂尚は太公望(たいこうぼう)と呼ばれた人物です。他の部屋には唐獅子図(からじし)、富嶽図(ふがく)、山水図、琴高(きんこう)仙人図等の襖絵があります。

木村梁舟は幕末から明治初期に活躍した京都の狩野派の絵師ですが、謎の多い人物です。狩野永岳の門人として知られており、江戸時代後期の安政年間、師の永岳と共に京都御所の造営にあたって襖絵を描いています。円通寺には、木村梁舟の美術館と呼べるほど多くの作品が残されています。

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