まちの文化財(87) 日本最古の戊辰年文字

更新日:2019年11月15日

漢字を入れた戊辰年銘大刀

漢字を入れた戊辰年銘大刀

つるぎが丘公園にある箕谷古墳群

つるぎが丘公園にある箕谷古墳群

 

養父市のつるぎが丘公園には、体育館、温水プール、グラウンドなどがあります。このグラウンドの奥に国指定文化財になっている箕谷古墳群があります。

この中の箕谷2号墳から出土した鉄刀に、「戊辰年五月」と書いた文字が刻まれていました。この戊辰年は飛鳥時代の推古天皇16年、西暦608年を示すもので、兵庫県で最も古い漢字となっています。

昭和59年1月10日、兵庫県庁において奈良国立文化財研究所(現在、奈良文化財研究所)は、「八鹿町が発掘調査した箕谷2号墳から銘文入り鉄刀が出土した。奈良国立文化財研究所のX線フィルム調査によって、銘文は“戊辰年五月”まで解読できた」と発表しました。これが兵庫県下で最古となる漢字が発見された瞬間でした。

銘文入り鉄刀は、継続して奈良国立文化財研究所で研ぎ出し作業が行われました。昭和60年5月10日、兵庫県庁において奈良国立文化財研究所は、「銘文は“戊辰年五月( )“で、最後の1文字は“中”と推定する。戊辰年は西暦608年を有力視する。文字は、古墳時代では初めての鉄に銅を埋め込んだ象眼である」と発表しました。

その後、平成4年6月22日、銘文入り鉄刀を含む箕谷2号墳の出土品103点は、国指定の重要文化財になりました。銘文入鉄刀は、戊辰年銘大刀と命名され、日本の古代史に重要な資料となっています。

銘文は1字が1センチメートルほどで、銅線は0.3ミリメートルほどです。戊辰年は「ぼしん」あるいは「つちのえたつ」という干支になります。

日本の古墳で出土した銘文入り鉄刀は全国で8本、その中でも干支の年号がある鉄刀は全国で3本だけ、養父市の事例は日本最古の「辰年」を示す漢字であり、日本の漢字文化研究の重要な史料となっています。

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