まちの文化財(220)グンゼ八鹿工場の本館

更新日:2023年05月18日

道路に面した八鹿工場の景観

道路に面した八鹿工場の景観

昭和50年頃の八鹿工場

昭和50年頃の八鹿工場

東側からみた本館

東側からみた本館

正面からみた本館

正面からみた本館

グンゼ株式会社八鹿工場の景観を保存するため、本館事務所棟や正門、守衛所、塀などが兵庫県の景観形成重要建造物に指定されています。グンゼ株式会社八鹿工場は、当時の養父郡の近代化を牽引した最大の工場です。

本館の屋根は寄棟造です。外壁のモルタルは表面を明るいクリーム色に塗られており、女性が多く勤める明るい工場という印象を受けます。そして1階と2階に長方形の窓が並んだ洋館風のデザインを受け継いでいます。外壁には茶色のタイルを並べて、横方向のラインをあしらった上品な建物です。建物は昭和初期の建築です。

注目される特徴は、建物北東の角部に玄関を配置していることです。ここは建物の隅柱がくる場所であり、本来は玄関が作れない場所です。玄関ドアは中央を壁で仕切って左右対称に配置されており、それぞれのドアは中央から外側に開きます。当時の従業員さんから、「給料日には多くの人が玄関前に並び、右のドアから入って、左のドアから給料袋を持って出てきた」という話をお聞きしました。狭いドアは人や物の出入りには窮屈であり、デザインを優先したことがわかります。

中央に壁を作らずに二つのドアを観音開きとしても、中には建物の隅柱が残ります。外観を重視した昭和モダン建築であり、兵庫県でも珍しい建築です。

また、道路に面した塀は、コンクリートで柱と下半部の壁を作ります。塀の上側には、長方形・菱形・三角形で区画した鉄製の棒を入れています。鉄製の棒は、威圧的なコンクリート製の塀の重たいイメージを和らげています。

建物だけでなく道路からみた八鹿工場の景観が受け継がれていることが重要です。明治末期から昭和初期にかけて、日本は生糸の輸出量が世界一を誇りました。日本を代表する輸出産業として栄えた製糸業を象徴する建築の一つです。

本館1階は、年末年始以外は8時30分から17時15分まで誰でも利用できるフリースペースとして開放しています。机と椅子もありますので内部で読書もできます。ぜひご利用ください。

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