まちの文化財(214)左近山の算額絵馬

更新日:2022年12月09日

算額絵馬の一部

算額絵馬の一部

向拝にある龍の彫刻

向拝にある龍の彫刻

左近山の地蔵堂

左近山の地蔵堂

天井に描かれた絵

天井に描かれた絵

左近山の高台に、明治12年に建てられた地蔵堂があります。大屋川を見渡す景色のよい場所です。この建物の入口にあたる向拝に龍の彫刻があります。彫刻の裏側には「当村、田村宗三郎正好」という作者名が彫られていますが、少し彫刻の造りが粗く大工による彫刻のようにも見えます。

この地蔵堂に横191センチメートル、縦70センチメートルの大きな算額絵馬があります。絵馬の最初には「奉納 算術測量術自問自答 備中国後月郡井原人 佐藤善一郎門人」の文字があります。

絵馬の上側に四角形や円形の図を示し、その下側に長さや球の体積を求める問題と解答を書いています。左近山村の小野山甚蔵(じんぞう)、伊豆村の小野山長蔵幸隆(おさぞうゆきたか)、小野山久吉篤慎(ひさきちあつのり)、岡田盛蔵宗祥(もりぞうむねよし)、尾崎村の田村冨蔵繁禧(とみぞうしげよし)など7名の門人が出題をしています。

佐藤善一郎は、現在の岡山県井原市井原町に生まれて算術を学び、各地で地籍測量をしながら和算を教えました。関孝和に始まる関流十一世だと名乗っています。

但馬地方にある算額絵馬は、左近山の地蔵堂に明治21年、出石神社に明治12年の2点があるだけです。出石神社の絵馬も佐藤善一郎が教えた門人たちの奉納です。関宮村の藤本徳平忠義(とくべいただよし)、万久里村の多田太平重則(たへいしげのり)、出合村の上田信太郎貞頼(のぶたろうさだより)、大谷村の大西貞祐直久(さだすけなおひさ)など養父市ゆかりの名前があります。

佐藤善一郎の門人たちは武士のような通称名と実名を名乗っています。現在の高校数学でも難しい和算の問題を回答することに対する誇りを感じます。

注記 人名のルビは一部に誤読、異読がある場合があります。

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