草庵先生の教え

更新日:2019年11月29日

草庵先生の書籍

草庵先生の書籍

草庵の教えをうけた門人は、但馬の中で地域の教育に貢献しました。

浜坂で味道館(みどうかん)を開いた森周一郎、和田山で自成軒(じせいけん)を開いた安積理一郎、豊岡に宝林義塾(ほうりんぎじゅく)を作った久保田精一、生野に明徳館(めいとくかん)を開設した藤本市兵衛などです。また草庵没後に北村寛愨(きたむらひろよし)は八鹿に山陰義塾を開き、斎藤哲太郎(斎藤畸庵の息子)らが教えました。

草庵の思想は「肄業餘稿」(いぎょうよこう)にまとめられています。「理想は高く持ち、学問は身近に役立つ事を重んじる」(19条)。「学問をする者は日常の営みや肉体労働をいやがってはいけない」(93条)。「たとえ人を欺くことはできても、自分を欺くことはできない」(143条)。「人間が草木と同じように朽ちてしまわないそのわけは何であろうか。それは徳の備わったりっぱな人間となり、そのりっぱさが世にたたえられるようになる点である」(211条)。などがあります。

門人たちが残した蝋燭の痕

                門人たちが残した蝋燭の痕

講義の間

                                 講義の間

さらに「この世の中には、実に数えきれないほどのたくさんのものが存在している。その中の人間は、米蔵の中の一粒の米のようなものである。そうした中で、私たちが人間としてこの世に生まれてきたことは、非常に貴重なありがたいことと言わなければならない。ところが、多くの人々はその大切な一生を粗末にしてしまう」(78条)。と説いています。

草庵は「大学」や「中庸」(ちゅうよう)という古典の中に説かれている『慎独』(しんどく)といって、自分がひとりでいるときでも心を正しくもち、行いを慎むことを重んじました。草庵の教えは万世に通じるものがあります。

「山窓功課」(さんそうこうか)という草庵の日記、「古本大学略解」「肄業餘稿」「読易録」(どくえきろく)などの自筆本80冊を含む131冊が昭和58年に県指定文化財になりました。その後、昭和61年に朱子学者の大橋訥庵や陽明学者の春日潜庵等と交流した手紙など1153点も県指定文化財になっています。

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