まちの文化財(157) 大薮の泉光寺

更新日:2019年12月05日

2階建の鐘楼門

2階建の鐘楼門

泉光寺にある円通堂

泉光寺にある円通堂

 

大薮区にある臨済宗の泉光寺は旗本小出家や家臣などの菩提寺です。福井県小浜市にある常高寺(じょうこうじ)の第4世住職の萬里須鉄(ばんりすてつ)和尚が、旗本第2代の小出英輝(ふさてる)侯の依頼によって正徳元年(1711)、円通堂を建立して始まりました。

常高寺は小浜藩主京極高次の妻である初(常高院、じょうこういん)の菩提寺です。姉は豊臣秀吉の妻の茶々(淀殿)、妹は徳川秀忠の妻のお江(崇源院、すうげんいん)です。常高院は姉の豊臣家と妹の徳川家が戦う大坂冬の陣で、豊臣家を代表して徳川家康に講和を求めた人物です。

小浜藩の大きな寺院の住職が大薮に寺院を開山しました。出石藩初代の小出吉政(よしまさ)は豊臣秀吉の従弟になります。第2代小出吉英(よしふさ)の3男の小出英信(ふさのぶ)が分家して旗本小出家となり、その子の小出英輝が大薮に陣屋を開きました。

大薮陣屋の跡地は集落の北側の一角にあり、南北約150メートル、東西約80メートルの範囲です。当主は江戸に住み、家老の大島家と森嶋家が領地を治めました。領地は出石藩から分けられた1500石で、大江・岩崎・畑・稲津・大薮・大塚・上野の集落です。

泉光寺の境内には、開山した萬里須鉄和尚と開基にあたる小出英輝侯の墓所があります。そして、本堂にあたる円通堂の入口には萬里須鉄和尚による円通堂と書いた木製の扁額が掲げられています。

円通堂は但馬三十三所観音霊場第9番札所でもあります。御詠歌は「まいるから、ふりし井筒のにごりまで、すすぎやたてん清瀧の山」となっています。

正面にある2階建の鐘楼門は、安永5年(1776)の建築で市内では最古級のものです。逆蓮柱(ぎゃくれんばしら)の高欄と花頭窓 (かとうまど)をもつ禅宗様の特徴があります。大檀越は小出英村、造営奉行は大嶋貞亮と森嶋重羽が務めました。泉光寺には豊臣秀吉の一族である小出家に関わる武士の時代の歴史が伝わっています。

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