まちの文化財(38) 別宮の大カツラ
正面の樹木が大カツラ
大カツラの近景、根から清水が湧き出る
但馬の深山には多くのカツラの木が生育し、国や兵庫県の天然記念物に指定されています。カツラの木は但馬を代表する樹木の一つです。
国指定は朝来市糸井の大カツラ、県指定は養父市別宮の大カツラ・香美町村岡区和池の大カツラ・兎和野の大カツラ、市指定は養父市轟の大カツラ・豊岡市万劫の大カツラがあります。国指定文化財になっている糸井の大カツラは、株廻りが19メートルもあります。
カツラは、湧水や渓流に近い水の豊富な場所に繁ります。幹は株のように増えて中心が腐っても外側に新しい幹を増やします。
別宮の大カツラは標高730メートルの高原に生育します。樹高27メートル、株の周囲は14メートル、枝張りは直径24メートルあります。昭和40年3月に兵庫県指定文化財になりました。
このカツラの根元から豊富な清水がこんこんと涌いており、下流に広がる多くの棚田を養っています。春に水をはった水田には氷ノ山の姿が逆さまに映り、本物の氷ノ山とあわせて写真撮影の名所となっています。
カツラは雌雄異株の樹木です。別宮のカツラは雌木であることから実がなり、付近には実生苗が多く育ちます。また幹にねじれをもつ「捻幹カツラ」で、幹が左巻きにねじれているのがこのカツラの特徴です。
平成16年10月の23号台風で外側の幹が1本、上の方で折れて落下しました。貴重な資料として年輪を調べたところ直径は39cメートルで、年輪は245年もありました。大変な古木です。株の中心にある幹は腐っていますので、この場所で千年をこえて生育していると想像しています。中心の幹がないのは、腐ったからではなくて、昔の木地師が材料として利用したからではないかという説もあります。
平成17年度に鉢伏高原に向かう市道にそって駐車場やトイレ、親水池やベンチをおいた別宮の大カツラ公園が整備され、気軽に立ち寄れるようになりました。清水の冷たい夏もいいですが、秋にも美しい氷ノ山がみえます。
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更新日:2019年11月18日