まちの文化財(175) 福王寺と秋塚廣貞

更新日:2019年11月20日

拝殿の豊富な彫刻

拝殿の豊富な彫刻

龍と迦陵頻伽

龍と伽陵頻伽

鷲と獅子と獏

鷲と獅子と獏

獏と獅子と鷲

獏と獅子と鷲

 

寺社や寺院の建物には、龍や獅子(しし)などの優れた彫刻があります。市内には江戸時代後期から昭和時代まで活躍した丹波市柏原町の中井家彫刻が見られます。しかし他にも豊岡市小田井町の秋塚廣貞や大垣輝貞が作った但馬豊岡彫刻と呼ぶべきものがあります。

大屋の福王寺本堂は享保8年(1723)の建築です。その正面に慶応4年(1868)に向拝(こうはい)が増築されました。大工の棟梁は畑村の藤原富太郎と中村の中島廣平朝次です。向拝は参拝者を迎えるための玄関です。向拝の柱間は中心間で494センチメートルの幅があり、柱は27センチメートル(9寸角)の角柱が使われています。

向拝に秋塚廣貞が制作した多数の彫刻があります。向拝柱の上部に獅子の彫刻があります。向かって左側の獅子は口に玉をくわえて内側を向き、右側の獅子は口から舌を出して前足をなめています。参拝者の立つ向拝の中央に彫刻の視線を集める設計になっています。彫刻は幅27センチ、奥行40センチメートル、高さ50センチメートルもある大形品です。

向拝柱の内側には鷲と松の彫刻があります。左側の鷲は両足で松の枝をつかんで木に止まり、内側を振り向きます。右側は松の枝から飛び出すために下方を鋭くにらんで羽を広げ、松の枝に鋭い爪を立てて飛び出す瞬間の動作です。彫刻の視線は中央に集まっています。向拝柱の外側には鼻が長くて前足を揃えた獏の彫刻があります。眉毛と首筋にあるたてがみに秋塚の特徴があります。

また、向拝柱に渡した水引虹梁(みずひきこうりょう)の上に龍の彫刻があります。大きく口を開いた龍の顔が1段前にせり出して立体感があります。参拝者の頭上に龍が迫ってきます。

福王寺の彫刻は幕末から明治前半に活躍した秋塚廣貞の代表作です。他にも養父市場の養父神社摂社(せっしゃ)山野口神社、青山の大歳神社、大屋の山路寺山門、朝来市山東町溝黒の八幡神社など、躍動感のある優れた彫刻を残しています。

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