明神電車車両が兵庫県指定文化財に指定!

更新日:2020年05月21日

令和2年3月13日、日本遺産「播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道」の構成文化財である明延鉱山明神電車が「明神電車車両」として兵庫県指定文化財に指定されました。
明神電車は、鉱石運搬を主目的とする軌道幅762ミリメートルクラスの電化された鉱山鉄道で唯一客車が設けられた特別な存在です。明神電車車両は、これらが現地において保存され、一部が動態保存、活用されていることに大きな価値が認められました。

今回兵庫県指定文化財となったのは、客車2両(くろがね・わかば)、電車2両(白金・赤金)、電気機関車4両(ナンバー1・ナンバー2・ナンバー5・ナンバー18)の8両で、この内6両が養父市に所在します。

客車くろがねの体験乗車会

客車くろがね体験乗車会の様子

神子畑選鉱場跡にある車両

神子畑選鉱場跡に展示されている車両

明神電車軌道は、明延鉱山(養父市大屋町明延)で採掘した鉱石を神子畑選鉱場(朝来市佐嚢)まで運搬するため、6,136メートルの距離を結んだ鉱山専用の鉄道で、昭和4年(1929)に完成しました。当初は軌間(線路幅)500ミリメートルでしたが、輸送力を高めるため昭和15年に軌間762ミリメートルに改修されています。昭和20年(1945)に客車が導入され、従業員の通勤にも使われるようになり、昭和27年(1952)から鉱山関係者の運賃が1円と定められたことから、「一円電車」の愛称で親しまれました。明神電車軌道は明延鉱山の閉山に伴い、昭和62年(1987)に廃止されました。
明神電車は明神電車軌道で鉱石や人々の輸送に活躍した車両の総称です。
客車くろがね

客車くろがね

客車わかば

客車わかば

客車は、人が乗るための専用車両で、自らは動力を持たず、電気機関車に牽引されて動くものです。鉱石を運ぶための狭いトンネルを通行するため、車内で立てないほど小さく、安全のため窓には鉄格子が取り付けられています。明延鉱山で作られたオリジナルの車両で、愛称が付けられていることも特徴のひとつです。平成22年に「一円電車明延線」が新設され、客車くろがねは体験乗車会で復活運行されています。誰でも乗車できる動く県指定文化財となりました。

電車しろがね

電車白金

電車あかがね

電車赤金

電車は、架線から集電してモーターで自走する電動客車のことです。明延鉱山と神子畑選鉱場の間の連絡用として少人数の職員の移動や簡易な保線などに利用されたほか、「一円電車」の車両としても使われました。客車と同様、明延鉱山で作られたオリジナルの車両で、愛称が付けられています。

機関車ナンバー2

機関車ナンバー2

機関車ナンバー5

機関車ナンバー5

機関車ナンバー18

機関車ナンバー18

電気機関車は客車や鉱車(鉱石を運搬するための車両)を牽引する車両です。電気機関車ナンバー1・ナンバー2は10トン機関車で、鉱石輸送の主力として活躍しました。電気機関車ナンバー5は北海道の美唄鉱山、ナンバー18は生野鉱山から明延鉱山に転属してきたもので、客車を牽引しました。
兵庫県指定文化財となった車両は、現在、朝来市神子畑選鉱場跡では、電気機関車ナンバー5、客車わかばが展示されています。養父市明延鉱山町では、電気機関車ナンバー1、ナンバー2、ナンバー18、電車白金、電車赤金、客車くろがねが保存されています。
また、文化財指定は受けていませんが、明神電車軌道で活躍した電気機関車ナンバー20、客車あおばが朝来市生野鉱山にある史跡生野銀山(シルバー生野)の入口で展示されています。
 
兵庫県指定文化財 明神電車車両一覧
  名称 製造年 種別 所在
1

電気機関車

ナンバー5

昭和19年
(1944)
5トン機関車 神子畑選鉱場跡
2 客車わかば 昭和35年
(1960)
客車 神子畑選鉱場跡
3

電気機関車

ナンバー18

昭和17年
(1942)
5.5トン機関車 あけのべ憩いの家
4 電車白金
(しろがね)
昭和27年
(1952)
電車 あけのべ憩いの家
5 客車くろがね 昭和24年
(1949)
客車 専用軌道「一円電車明延線」
6 電車赤金
(あかがね)
昭和28年以前
(1953)
電車 明延鉱山学習館
7

電気機関車

ナンバー1

昭和16年
(1941)
10トン機関車 明延鉱山学習館
8

電気機関車

ナンバー2

昭和16年
(1941)
10トン機関車 明延鉱山学習館

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