まちの文化財(72) 斎神社摂社の県登録
大黒様、鯉、鹿の彫刻
旧本殿である摂社
長野区にある斎神社の摂社楯縫神社本殿が、平成22年8月20日に兵庫県登録文化財になりました。
平成21年8月の台風9号による豪雨災害で斎神社本殿が倒壊しました。このため現在本殿は解体修理中であり、摂社が仮本殿になっています。そして土石流を防止するための災害復旧工事が、兵庫県営治山事業として始まっています。
この建物は宝暦10年(1760)に斎神社本殿として建立されましたが、昭和12年に本殿が新築されたことから、旧本殿が摂社楯縫神社の本殿となったものです。昨年8月の土石流で基礎まで埋まりましたが、奇跡的に無事でした。
本殿は正面の柱間が一間(1.69メートル)で、屋根は前方に長く伸びる一間社流造という形式です。高さは5.2メートルあり、当時では大きな社殿です。大工の棟梁は播州三木の黒田源左衛門で、地元長野村の大工など4名で建築しています。
明治32年に描かれた斎神社の絵馬には、本殿を保護する覆い屋が描かれています。このため保存状態がよい文化財となりました。文化財は、修理などで本来の柱や彫刻が取り替えられていると価値が下がります。
そして壁面には多く彫刻が認められます。波と兎、松と鶴、竹と虎、梅と鶯、紅葉と鹿、波と鯉、釣りをする恵比寿様、米俵にのる大黒様、綱を引く猿です。なぜか、花札の題材とよく似ています。
また脇障子には、滝の水で耳を洗う老人、牛を引いて歩く老人の2枚の彫刻があります。これは世俗の欲にまみれず学問を修めなさいという教えで、中国説話を題材とした珍しい彫刻です。
但馬地方では19世紀前半の文化文政期から幕末期にかけて、丹波柏原の中井家が作った彫刻が隆盛を極めます。しかしそれ以前に作られた良好な彫刻は数が少ないものです。但馬地方の彫刻史を考える上で大変貴重なものです。
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更新日:2019年11月18日