令和8年2月25日、第132回養父市議会(定例会)に市長が説明した施政方針を全文掲載します。
はじめに
本日、第132回養父市議会定例会を開会いたしましたところ、議員の皆さま方におかれましては、ご健勝にてご出席賜り、令和8年度予算案をはじめとする市政の重要課題につきまして、ご審議いただきますことに、心から感謝申し上げ、厚くお礼申し上げます。
一昨年10月の養父市長選挙において、市民の皆さまから大きな信託を賜り、市長に就任して以来、まもなく1年半を迎えようとしております。この間、市民の皆さま、市議会議員の皆さま、そして関係各位から賜りましたご尽力とご協力に対し、改めて心から感謝申し上げます。就任以来、「市民が主役のまちづくり」を掲げ、市民一人ひとりが安心して暮らし続けられ、笑顔と活力にあふれる養父市を目指して市政運営に取り組んでまいりました。
令和7年度は、「市民の笑顔と活力」「持続可能なまちづくり」「頑張る市民を応援するまち」というキーワードのもと、多様な市民の皆さまが対等な立場で対話し、自らの思いを伝え、相手の声に耳を傾け、互いを認め合う、そのような対話の場を設けてまいりました。まちづくり計画の策定に向けたタウンミーティングや少子化対策などをテーマとした意見交換を通じて、幅広い世代の声を市政に反映させるべく、鋭意取り組んでまいりました。加えて、市役所内でも、部局横断的に若手職員による政策提言プロジェクトを立ち上げ、従来の枠にとらわれない取組を進めました。そこから得た新たな気付きや共感を市政運営の原動力として進めてきたところであります。
また、若者への支援として「がんばる若者応援給付金」や、養父市の魅力を発信するイベントとして「YABUフードEXPO」の開催など、市民や事業者の挑戦を後押しする事業を展開してまいりました。さらには、持続可能なまちづくりの基盤として、将来に向けての教育や公共施設の在り方についても検討を進めてきたところであります。
これからも、市民の皆さまと共に、よりよい養父市を創り上げていきます。
本市を取り巻く状況
現在、本市は財政と人口減少の厳しい現実に直面しております。
全国的に多くの公立病院や地域医療機関が経営難に陥る中にあって、公立八鹿病院は、地域住民の命と健康を守る「最後のとりで」であり、その存在価値は計り知れないものがあります。しかしながら、ここ数年、人件費や光熱費、医療材料費の高騰が続く一方で、診療報酬の改定が追いつかず、公立八鹿病院組合の経営は極めて厳しい状況に直面しております。
このため、令和7年度から9年度までの3年間、病院経営の抜本的な見直しを進めていくために、特別な財政支援を実施します。令和8年度は、特別な支援である貸付金8億1,700万円を含め、総額18億9,400万円を予算化し、地域医療を支える八鹿病院の安定的な運営を支援するとともに、経営健全化に向けた取組の加速を求めてまいります。
こうした支援は、地域の医療体制を維持する上で不可欠である一方、市の財政への影響も極めて大きく、このような多額の負担を継続することは、今後の市の行財政運営に深刻な影響を及ぼすものとなります。
市全体においても、人件費や物価高騰の影響に加え、南但広域行政事務組合への負担金といった固定的な経費の増加により、厳しい財政状況が続いています。
令和5年度から実施している第5次養父市行政改革大綱は、養父市まちづくり計画が目指す「次世代につなぐ持続可能な養父市づくり」の土台となる行財政基盤の確保を目的として策定しており、「規律ある財政運営と基盤の強化」を最優先課題に位置付け、メリハリある事業推進や財政運営における厳格なリスク管理、あらゆる自主財源の確保に取り組んでまいりました。しかしながら、想定を超える物価高騰や人件費の上昇により、実質収支はマイナスとなり、財政調整基金の取り崩しが必要な状況が続き、数年後には財政調整基金残高が大きく減少するという、危機的な財政状況が目前に迫っております。
人口面では、令和7年度の出生数は70人台と見込まれ、2年連続で二桁台となるなど、少子化の進行が一層顕著となっています。また、令和7年国勢調査においては、人口が2万人を下回ることが確実視されており、人口規模の縮小が加速しています。
こうした中で、地域コミュニティの担い手や後継者の不足、高齢者の見守り、防災活動、防犯パトロールなど、地域が支えてきたコミュニティ活動の停滞が顕在化しつつあります。さらに、地域医療や公共交通の維持・確保も大きな課題となりつつあります。
今後は、将来の人口規模を見据え、道路・水道などの社会インフラや公民館・体育施設などの公共施設、さらには行政サービス全般について、その最適化に向けた在り方の検討と迅速な対応が不可欠であると考えています
次世代につなぐ養父市の実現
この危機を決して後退の契機とはせず、未来への挑戦の機会と捉え、次世代に胸を張って引き継げる養父市を自らの手で築き上げる必要を強く感じています。
本市が目指すべき姿は、「養父市まちづくり計画」に掲げる「やぶ2050~居空間構想~」の実現です。
2050年の養父市が、あらゆる人々にとって「居心地がよい」「ずっと住み続けたい」と思える「場」「空間」を創ることが、次世代につながる持続可能な価値を生み出します。
「やぶ2050~居空間構想~」の実現を目指し、「居心地がよい」「住み続けたい」と思われるまちづくりを進め、魅力あふれる生活空間を創出する。その成果が、次世代をはじめとする多くの人々の生活に安心感をもたらし、将来への希望を生み出す。この希望が地域を支える人々の活力を高め、「居空間」実現のための確かな土台を築く。構想の実現に向けた取組が人々の希望を生み、その人々の力が再び構想を加速させる。この好循環こそ、次世代につなぐ持続可能な養父市の実現戦略であり、限られた財源の中で最大の効果を生み出す最善の道であると考えています。この確信のもと、令和8年度の市政運営に当たってまいります。
令和8年度の三つの視点
この確信を実行に移すため、「守る」「育てる」「つなぐ」の3つの視点を令和8年度の市政の指針に位置付けます。
一つ目の「守る」は、「地域のくらしや価値を大切にする」視点です。
養父市の豊かな自然、農業、地域資源、暮らしの基盤は、「住み続けたいと思えるまち」の土台となるものです。地域の交通や医療の維持、また、財政的な側面も含め、将来の暮らしを支えるための仕組みを、養父市を次世代へつなぐための基盤確保の視点で守ります。暮らしの基盤、次世代の居場所、働く場、地域を将来にわたって守り抜きます。
二つ目の「育てる」は、「人の挑戦や地域の可能性を育てる、市民の挑戦を後押しする」視点です。守るだけでは、新たな活力や希望は生まれません。起業、移住、子育て、新しい仕事などの人の挑戦や産業、交流、文化など地域の可能性を育てることで、「やってみたいが生まれるまち」を実現するための成長軸が築かれます。既存の枠組みにとらわれず、市民の小さな挑戦を後押しすることで、次の挑戦が生まれる循環を創り出します。子育て世代やコミュニティ、新たな仕事、地域の魅力を育みます。
三つ目の「つなぐ」は、「絆を広げる」視点です。養父市の強みは、人と人とのつながり、顔の見える関係性にあります。まちづくり計画では、「互いに理解し合い、協力し合うまち」「先端技術で出会い・つながりを感じられるまち」を掲げており、つながりを活力の源としております。「人・世代、地域、市内外を結び、支え合う関係性をつくる」を視点として位置付け、これらが有機的に結びつくことで新たな価値を共に創り出します。
出会いをつなぎ、若者とまちをつなぎ、人と仕事をつなぎ、市内外をつなぎます。全方位につながる輪で、養父市を活気付けてまいります。
令和8年度はこれらの視点を指針として取り組むこととし、市政テーマを「暮らしを守り、挑戦を育て、人と地域をつなぐ、未来を拓くまちづくり~やってみたいが生まれる居空間~」といたします。
重点施策
養父市らしさを生かした、養父市ならではの居空間を創り、未来に引き継ぐ養父市の創造を目指すためには、「守る」「育てる」「つなぐ」という三つの視点を軸に、「住み続けたいと思える環境」や「次世代に引き継ぐ価値」を高め、希望の醸成、暮らしの質の向上、地域のつながりの強化を実現する施策が必要となります。
これらの具体的な施策として、令和8年度は、次の四つの柱のもと、重点施策に取り組みます。
具体的な四つの柱は、
- 実効性の高い少子化対策
- 若者に選ばれる住環境の整備
- 雇用の安定と働きたい仕事の創出
- 自然環境と資源を生かした魅力の向上
としました。
1実効性の高い少子化対策
まず、一つ目の柱は、実効性の高い少子化対策です。
少子化は、将来の人口規模だけでなく、子育て世代の安心感や、地域の持続可能性に直結する課題です。
子育て世代を取り巻く環境は、結婚や出産、子育てというそれぞれの段階で形を変えます。こうしたライフステージごとの課題にきめ細かく対応し、「結婚したい」「子どもを持ちたい」と考えている人を支え、不安を抱える人の背中を後押しするとともに、多様な選択肢を検討しやすくなる環境づくりを進めるため、新たな支援策を展開します。
- 不妊治療に対する支援を継続するとともに、無痛分娩を希望する人に対する支援を新設します。無痛分娩を含めた分娩方法を選択できる機会をつくることで、出産に伴う経済的・精神的な負担を軽減するとともに、子どもを持ちたいと思う人がその思いを実現しやすい環境づくりを行います。
- 市内に居住し、奨学金を返済している若者に対する支援を新設します。教育にお金がかかりすぎるといった不安の解消とともに、奨学金を働きながら返済している若者に対して、一定期間支援を行うことで経済的負担を軽減し、就業継続や結婚、出産、定住など将来にわたるライフプランの選択肢を広げ、子育てや地域定着への意欲醸成を図ります。
- 婚活を意識しすぎない出会いの創出や縁結び世話人制度の拡充などにより、多様な出会いを通じて結婚を含むライフプランを検討するきっかけづくりや、結婚を実現しやすい環境づくりを推進していきます。
2 若者に選ばれる住環境の整備
次に、若者に選ばれる住環境の整備です。
養父市に住みたいと思われるためには、安心して暮らせる住宅や、家族が支え合いやすい環境が必要です。Uターン・Iターンや結婚等のライフステージの転換期に、「ここに住みたい」と思える受け皿を整えることが重要です。
若者や移住者が住み続け、安心して子育てできる生活基盤を維持し、将来にわたって住み続けられるまちづくりを進めることで、まちの魅力を高め、将来の定住を促進します。家族や地域とのつながりを強化し、交流空間や住環境を通じて、人と人とのつながりを広げ、地域全体のつながりを深めることを目指します。
- 民間集合住宅建築支援事業を利用して整備されたファミリー向け民間賃貸住宅は、募集開始から早期に満室になった住宅もあることから、令和8年度も引き続き事業を継続します。
また、親・子・孫の三世代同居が可能となる家屋の改修工事費を助成する事業を新設します。これにより、家族の支え合いによって子育てしやすい環境づくりにも取り組みます。 - やぶ市民交流広場(YBファブ)の魅力を高め、誰もが気軽に訪れ、それぞれの過ごし方の中で新しいことや新しい人に出会える場所となるよう、屋外空間をYBパークとして整備します。赤ちゃんからお年寄りまで幅広い世代が集える空間を設けることで、地域に魅力的な住環境を整備するとともに、交流の場の創出を図ります。
3 雇用の安定と働きたい仕事の創出
次に、雇用の安定と働きたい仕事の創出です。
若者が安心して働き続けられる環境づくりと、地域経済を支える魅力的な仕事の創出は、少子化対策や定住促進に直結します。人口減少が進む中、特に若者や女性の都市部への流出が続いています。「やりたい仕事がない」「専門性を生かせる場所が少ない」といった声がその背景にあります。
こうした状況を踏まえ、働きたいと思える職場環境の整備や、新たな雇用創出につながる支援、また、それらに関する情報発信を行うことで、地域経済の活性化を図りながら、雇用の安定と将来にわたって働き続けられる環境を整備します。
新たな雇用や魅力的な仕事の創出を後押しすることで、地域の可能性を伸ばし、将来の活力を育てます。
- 令和7年度に新設した「養父市がんばる若者応援給付金」は2年目を迎えます。市内に居住し、事業所等に正規雇用で就業する、また自ら起業する若者を応援するため、令和8年度も引き続き実施します。
- 養父市版スタートアップスタジオ事業では、先進的なアイデアや技術で新たなビジネスを創り出すスタートアップ企業を養父市に呼び込み、養父市ならではの地域ニーズへの対応、経営課題を抱える市内企業とのビジネスマッチングを進めます。また、スタートアップ企業の養父市での事業展開を通じて魅力的な仕事の創出、地域経済の活性化に取り組みます。
- 昨年11月に行った「YABUフードEXPO」は、市内飲食店など57団体が出店し、約9,000人の方にご来場いただきました。多くの人に養父市の豊かな「食」を知ってもらうとともに、市内事業者同士の交流により売上増や顧客・販路の拡大、ふるさと納税の増加等につながるよう、令和8年度も継続して取り組んでいきます。
4 自然環境と資源を生かした魅力の向上
次に、自然環境と資源を生かした魅力の向上です。
養父市の自然環境や地域資源は、「住み続けたいと思えるまち」の魅力の源泉です。養父市は、四季折々の自然環境、観光資源や特産物、棚田に代表される農地、山林、円山川をはじめとする河川など、多くの地域資源を抱えています。
これらの地域資源を素材として、磨き上げや新たな価値の創造により商品やサービスの開発を進め、異業種間の連携を活性化させることで、地域の魅力を最大限に活用した魅力あふれるまちづくりに取り組んでいきます。
地域資源を守るため、農村機能の維持や景観・環境の保全を支援するとともに、観光・ロケ誘致などを市内事業者・市民・市外の人々と連携して展開することで、新たな魅力を創出し、地域全体のつながりを広げ、地域の活力を高めていきます。
- 農地や農村は、食料生産のほか、自然環境の保全、良好な景観など多くの機能を持っており、大切な地域資源の一つとなっています。これらの機能を守り、農地や水路を管理する組織に対して、若手人材の参加や組織の広域化を後押しするための交付金を新設し、活動継続の支障となっている事務の担い手の若返りを促進します。
- 「つなぐ棚田遺産」の一つである別宮地域で大学サークルの学生による田植えや稲刈りなどの活動を支援し、令和8年度は大学生自ら稲作を行うなど、棚田保全活動を進めます。耕作放棄地再生事業を活用する農業者への奨励金の交付と併せ、棚田保全や耕作放棄地再生を支える多様な担い手を支援します。
- 近年、養父市が相次いで映画やドラマ等のロケ地に選ばれており、これをきっかけにロケ地を訪れる観光客が増えています。引き続きロケ誘致を実施することで、地域資源の魅力向上に加え、新たな観光資源の創出に取り組みます。
これら重点施策以外にも多くの事業に取り組んでいきます。
関宮地域の中心である関宮地域局エリア一帯を、地域の人材や資源、活動をつなぐ「小さな拠点」と位置づける「関宮地域局周辺整備事業」を進めています。令和7年度には第1期として、公民館機能を核としたコミュニティ施設や商業・医療・福祉機能、バスターミナル等を一体的に整備する工事に着手しました。令和8年度は第2期として、福祉的施設や店舗等の内装工事等に着手するとともに、運営事業者の選定を進め、令和9年度の供用開始を目指し、関宮地域局周辺を市民が集い、交流する拠点として完成させる予定です。
国が実施する小学校給食費の負担軽減にあわせ、食材費を国が支援する制度を活用し、養父市がその上乗せを行うことで、小学校給食の完全無償化を実現します。
また、市民サービスの向上に向け、デジタル技術の活用を進めていきます。交通分野では、路線バス等へのキャッシュレス決済を導入し、利便性の向上と利用促進を図ります。農業分野では、ロボットやラジコンによる省力化技術を導入することによる有効性を検証することで、農業の担い手不足への対応を図っていきます。さらに、市民の参画と協働を促進するため、地域活動などへの参加に対して「やっぷるカード」にポイントを付与する新たな仕組みを導入し、市民が身近にまちづくりに関わるきっかけを提供していきます。
いずれの施策も、市民一人ひとりの思いや挑戦が、実際の暮らしや地域の変化につながっていくまちづくりを目指します。この方向性をより身近に感じていただくため、「やってみたいが生まれる居空間」というサブテーマを掲げ、市内のみならず市外に向けても発信するPRの軸として位置付けます。住みたい、働きたい、挑戦したいと思っていただけるまちとして、多くの人々にその魅力を発信してまいります。
予算規模と執行方針
以上のように編成した令和8年度の歳入歳出予算につきましてご説明申し上げます。
一般会計については、令和7年度予算額199億6,000万円に対しまして、2.6%増の204億8,200万円を計上しています。
特別会計については、令和7年度予算額70億2,720万円に対しまして、1.9%減の68億9,640万円を計上しています。
企業会計については、令和7年度予算額35億9,487万円に対しまして、2.2%減の35億1,698万円を計上しています。
この結果、一般会計と特別会計、企業会計を合わせた予算の総額は、令和7年度の当初予算額305億8,207万円に対しまして、1.0%増の308億9,538万円を計上しています。
予算の執行に当たりましては、ふるさと納税を含めた歳入の確保に一層努めるとともに、事務事業の効率化・適正化を進めつつ、養父市まちづくり計画・第2期基本計画に掲げる目標の実現に向け、練り上げた施策事業を着実に実行してまいります。
あわせて、養父市を未来へつなぐ取組として、教育の在り方の検討や公共施設の適正化、使用料・手数料の見直しなど、既に着手しているものに加え、令和8年度から本格的に取り組むものについても、計画的かつ確実に推進してまいります。
まず、教育について申し述べます。
これからの子どもたち一人ひとりに「生きる力」を育成するためには、多様で包摂性のある集団の中で切磋琢磨し、互いの良さを認め合いそれぞれの個性を躊躇なく発揮できる「学びと育ちを楽しみ合う仲間」があること、そして、課題を捉え自ら解決に向けて活動する「探求的な学び」を支え、後押しできる学校園所の整備と授業改善を進めていくことが必要です。
そこで、令和7年6月に「養父市教育のあり方検討委員会」を設置し、「学びを支える教育施設のあり方」と「学校園所の適正配置のあり方」の2点について諮問いたしました。委員会では、「学校づくりはまちづくりである」との捉えを根底に据えた熟議を重ね、昨年、12月に答申をいただきました。令和8年度はこの答申を基に、具体的な取組方針などを全庁的に検討し、未来を生きるこれからの子どもたちの学びを支え、健やかに育むことのできる学校園所の在り方と整備計画について方向性を定め、推進してまいります。
教育委員会が担ってきた乳幼児教育・保育については、令和8年度からこども・夢・えがお部が担当することとします。乳幼児期から小学校教育に至る「学びの連続性」だけでなく、子育て支援や地域子育て環境の整備と一体的に捉え、より切れ目のない支援体制を構築するためです。「発達や学びの連続性を踏まえた乳幼児教育の充実」、「多様な遊び・体験を通した自立心と協働性の育成」、「子どもが安心して遊べる・学べる環境の充実」の3つの柱を引き続き重視し、教育委員会とは密に連携を図りながら、保育所・こども園等における現場支援を強化し、「生きる力」を育む質の高い幼児教育・保育の実現に取り組んでまいります。
また、給食センターにつきましては、専門的なノウハウを有する事業者と連携した給食提供体制を確立するため、令和9年度からの調理・配送業務の民間委託を目指し、令和8年度はその準備を着実に丁寧に進めてまいります。
令和8年3月には「養父市公共施設等総合管理計画」を改定いたします。
本市は平成16年の合併により、広大な市域を有し、旧町ごとに整備されてきた多数の公共施設を抱えていますが、施設の老朽化に伴う維持管理費の増加や、人口減少・少子高齢化が進み公共施設に対する需要の変化などといった課題に直面しています。このため、養父市の公共施設の保有量の適正化に向けた基本方針である「養父市公共施設等総合管理計画」を平成28年3月に策定していますが、このたび策定から10年を迎えることから、10年間の進捗状況を整理し、再度各施設を評価した上で計画の見直しを行います。
令和8年度以降は、本計画で定めた、学校施設、スポーツ施設、市民文化施設など施設類型ごとの管理に関する基本方針に基づき具体的な事業へと展開していきます。
また、平成26年以来見直しを行っていない使用料・手数料については、近年の物価上昇や人件費・維持管理費の増大などの社会経済情勢の変化を踏まえ、将来的なサービスの質の低下を防ぐため、受益者負担の原則に基づき、公平性・透明性を高める方向で検討を進めてまいります。
医療分野においては、人口減少が進む中にあっても、医療需要が増す高齢者人口については、当面の間、さほど減少とならないことから、市内の医療は継続的な需要が見込まれる状況となっています。一方、医療サービスの供給体制においては、物価や人件費等の高騰による経営の悪化に加え、医師や看護師をはじめとする医療人材確保の課題、また、市内医療機関では医師の高齢化に伴う後継者問題など、医療をとりまく環境は厳しい状況にあります。それらを踏まえ、医療における現状の分析や今後必要となる医療サービス量を見込み、医療体制を維持・確保するための課題を抽出した上で、市の現状と特性に鑑み、市民が住み慣れた地域で適切かつ適正に医療が受け続けられるよう、今後取り組むべき方向性と方策を示す委員会を設置し、検討を進めてまいります。
これらの各種見直しや施策の推進に当たっては、まちづくり計画の横断的指針である「伝えるから伝わる情報発信」の理念を具体化し、リニューアルした広報誌や市のホームページでの情報発信を含む多様な媒体の活用により、市政や施策を「実感できる取組」として展開してまいります。
市の現状や将来の課題を率直に伝えることで、施策への理解と納得を深め、市民の皆さまに成果を実感していただくことが、市との関わりを身近に感じていただき、一緒にまちづくりを進めたいという気持ちや新たな参加意欲、挑戦につながるものと考えます。こうして、市民と市との関わりがさらに深まれば、実感から協働、そして効力感につながる好循環が生まれ、地域全体の活力が高まっていくものと確信しています。
これらの取組を通じて、将来へとしっかりとつながり、次世代に責任をもってバトンを渡す養父市を実現してまいります。養父市らしさを守りながら、「居空間」を創造し、未来に引き継ぐ持続可能な養父市の構築を目指してまいります。
むすびに
結びになりますが、私が養父市へ帰郷し一人で個人事業を始めたころに一冊の本と出会いました。世界的メンターのアンソニーロビンズの本です。その一節に、「成功とは正しい判断の結果であり、正しい判断は経験の結果である。そして経験とは、ほとんどの場合、誤った判断の結果である。」「実現不可能な挑戦というのは一つしかない。それは始めない挑戦である。」という言葉があります。私はこの言葉に勇気づけられ背中を押されました。
「結果を恐れずに挑戦し、試行錯誤を通じて学び、行動し続けることこそが成功への道である」という教えとして受け止め、そしてその考え方は、個人の歩みだけでなく、市政を担う上でも大切な指針であると感じています。
いま、養父市は変わるか立ち止まるかの大きな転換点に立っています。課題は山積していますが先送りにせず、改革に着手することを恐れず、覚悟をもって未来を切り拓くための市政を実行してまいります。
次の世代が希望を持ってこのまちを選び、誇りを持って生きていけるよう、確かなバトンを渡します。今を生きる私たちが決断し、行動し、その結果に責任を持ちます。
こどもたちがこのまちで夢を描き、高齢の皆さまが安心して暮らし、働く世代が養父市で良かったと実感できる未来を残すため、確かな改革を、一歩ずつ、決して立ち止まらずに進めてまいります。
持続可能で魅力的な居空間をつくるためには、市民・地域・行政が協働し、正面から向き合い対話を重ねることが必要不可欠なことと信じます。
共に考え、共に進む、養父市を未来と希望あるより良いまちにしていきましょう。
市民の皆さま、ならびに市議会議員の皆さまの、より一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、令和8年度の施政方針とさせていただきます。
令和8年2月25日
養父市長 大 林 賢 一