まちの文化財(198)池田草庵とコウノトリ

更新日:2021年09月21日

高台にある青谿書院

高台にある青谿書院

宿南の田んぼを歩くコウノトリ

宿南の田んぼを歩くコウノトリ

青谿書院の前に広がる景色

青谿書院の前に広がる景色

宿南のコウノトリ

宿南のコウノトリ

コウノトリは昭和31年に国の特別天然記念物となり、昭和40年には兵庫県の県鳥になりました。現在では野外で生息するコウノトリが200羽を超えるまで復活しました。但馬では昔からコウノトリのことを鶴と呼ぶことから、但馬の各地には景勝地として知られた鶴山がありました。

池田草庵先生の言葉をまとめた『肄業餘稿(いぎょうよこう)』という本の164条には「前の山の峰に高くそびえる松の木がある。その枝の上に鶴が来て巣を作っている。青谿書院からみると、この風景が何倍も素晴らしい」とあります。

そして404条、405条には「青谿書院の前の山に高い1本の松がある。いつも見て楽しんでいる。木こりが松の木を切ろうとしたので、木の倍の代金を払って買った」と書いています。草庵先生は、青谿書院の前にある鶴の巣がある松の木を守るために木を買ったのです。

さらに、草庵先生の「鶴」という漢詩があります。その中で「私の土地には鶴がいなかった。網をしかけて捕まえる人がいるのでここに来た。谷川で水をつっついて魚を食べ、風を受けて休み、俗世間から離れて楽しんでいる。私も一緒に空を高く飛んで雲の中に入りたい」と書いています。

また、「青谿書院記」という漢詩では、「青谿書院の景色は宇宙が始まってから存在している。これを心から楽しむ者は私から始まるのだ。青谿書院の景色は千年後も輝き、その良さは増すだろう」と解説しています。

草庵先生は、身近な所にやってきて、自然の中で自由に生きるコウノトリを観察して心を養いました。現在では宿南にもコウノトリが飛んできて、草庵先生が愛でた風景が蘇ってきました。宿南の水田を耕すトラクターの傍で、エサを探すコウノトリが歩いています。

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