まちの文化財(21) 加保坂のミズバショウ

更新日:2022年03月07日

ミズバショウの白い部分は萼

ミズバショウの白い部分は苞

ミズバショウ

                    ミズバショウ

自生するミズバショウ

自生するミズバショウ

見学用のデッキ

見学用のデッキ

 

平成17年5月15日、ミズバショウが養父市の市花に決定しました。ミズバショウは中部地方からサハリンやカムチャッカまでの、寒い地域に分布するサトイモ科の多年草です。

昭和51年に加保坂のミズバショウ自生地という名称で兵庫県指定文化財になりました。現在は1960個体が生育しています。

4月になると「ミズバショウの白い花は咲いていますか」という話が話題になります。しかし「花びら」のように見える白い部分は、花弁ではなく葉の変形した苞(ほう)といって、花を保護するために花の直下につく葉の変化したものです。サトイモ科の苞は、仏像の光背(こうはい)にある火炎のような形をしていることから、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれています。

白い苞の中心には、花茎が下から伸びてその先端が棍棒状に膨らんでします。これがたくさんの花が集まった花序(かじょ)です。ミズバショウの場合、肉穂花序(にくすいかじょ)と呼ばれています。肉穂花序には小さな黄色いブツブツがたくさんついていますが、その一つ一つの花です。それぞれに4本のおしべと1本のめしべがついています。

大きな白い苞の中にある小さな黄色いブツブツをよくみてください。その中にさらに小さなおしべとめしべが付いています。

加保坂のミズバショウは、株が小さいと言われています。これは栄養分が貧しい蛇紋岩地帯に生育しているためです。また緑色の葉に濃い緑色の斑点があります。この斑点は石川県・福井県・岐阜県にまたがる白山山系のミズバショウと共通する特徴です。

寒い地域に生育するミズバショウの自生地は福井県勝山市の取立山が西限で、岐阜県郡上市の蛭ヶ野高原が南限となっています。自然の状態で生育できる分布圏は、福井県から岐阜県よりも北側と考えて間違いないでしょう。

しかし昭和45年、大屋町加保坂で奇跡的にミズバショウが発見されました。このため自生地が、隔離分布という形で160キロメートルも西に移動しました。氷河期から現在まで一万年も加保坂で自生しつづけていると考えられます。日本列島で最も西端の自生地として大変重要です。

加保坂開発組合長では「地球温暖化の影響でしょうか、ミズバショウの開化が少し早まってきました。見頃は4月下旬に移っています。4月29日にミズバショウ祭りを開催しています。市花になったミズバショウをぜひご覧ください」と話しています。

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