まちの文化財(161) 青谿書院のモミの木

更新日:2019年11月15日

モミの枝の採取作業

モミの枝の採取作業

採集したモミの枝

採集したモミの枝

 

宿南にある青谿書院は池田草庵先生が弘化4年(1847)に開いた漢学塾です。開塾にあたって草庵先生と門人達は、青谿書院の前庭にマツ・モミ・カシの3本を植えました。冬になっても落葉せず一段と緑のさえる木々を草庵先生が愛したことから、門人たちが記念に植えたものです。この時に北垣国道も入門していました。

現在はモミだけが残り、樹齢約170年、樹高25.5メートル、幹周り3.85メートルになっています。所有者の青谿書院保存会はモミの衰退を心配し、平成28年から樹木医に依頼して樹勢回復を行っていますが衰えが進んでいます。

このため青谿書院保存会と養父市教育委員会は、国の森林総合研究所林木育種センター関西育種場(岡山県勝央町)に枝の採取を依頼しました。森林総合研究所では「林木遺伝子銀行110番」という制度を設け、巨木や銘木を接ぎ木などで育成し、遺伝の保存と育成を進めています。

平成30年2月7日、関西育種場の職員が青谿書院を訪れ、モミの枝12本を採取しました。太い釣り竿のようなポールを伸ばして先端のハサミで枝を切りました。将来的には青谿書院に苗を戻して植樹する計画です。すでに養父市関係では、樽見の大ザクラ、建屋のヒダリマキガヤ、妙見の大スギ(別名夫婦杉)が育成されています。

草庵先生は、「理想は高くもち、学問は身近に役に立つことを重んじる」という「志(こころざし)は高遠(こうえん)を期し、功(こう)は切近(せっきん)を貴ぶ」を大切にしました。草庵先生の理想を示すようにモミの木は、高く真っ直ぐに伸びています。

 

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