○養父市認知症初期集中支援事業実施要綱

平成29年2月1日

告示第10号

(趣旨)

第1条 この告示は、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるために、認知症の人やその家族に早期に関わる「認知症初期集中支援チーム」(以下「支援チーム」という。)を配置し、早期診断、早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とした養父市認知症初期集中支援事業の実施について、必要な事項を定めるものとする。

(実施主体)

第2条 事業の実施主体は、養父市(以下「市」という。)とする。ただし市長は、適切な事業運営を確保することができると認める団体等に、事業の全部又は一部を委託することができる。

(実施体制)

第3条 支援チームは、地域包括支援センターに配置することとし、認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師の指導の下、複数の専門職が家族の訴え等により認知症が疑われる人や認知症の人(以下「訪問支援対象者」という。)及びその家族を訪問し、観察・評価、家族支援などの初期の支援を包括的、集中的に行い、自立生活のサポートを行うものとする。

2 支援チームは、地域包括支援センター職員や認知症地域支援推進員、保健師等市職員、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、認知症サポート医、認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師、認知症疾患センター職員、介護事業者等との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保する。

(実施内容)

第4条 事業内容は、次に掲げる事項について実施する。

(1) 支援チームに関する普及啓発

地域住民や関係機関・団体に対し、支援チームの役割や機能について広報活動や協力依頼を行う等、地域の実情に応じた取り組みを行うものとする。

(2) 認知症初期集中支援の実施

 訪問支援対象者の把握

訪問支援対象者は、地域包括支援センター(認知症相談センター)経由で把握する。認知症初期集中支援チーム員(以下「チーム員」という。)が直接訪問支援対象者を把握した場合においては、地域包括支援センターと情報共有を図るものとする。

 情報収集及び観察・評価

訪問支援対象者を訪問する際、本人のほか家族等のあらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集する。また、信頼性・妥当性の検証がされた観察・評価票を用いて、認知症の包括的観察・評価を行う。

 初回訪問時の支援

初回訪問時に、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診や介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び訪問支援対象者やその家族の心理的サポートや助言等を行う。

 専門医を含めたチーム員会議の開催

初回訪問後、訪問支援対象者ごとに、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医も含めたチーム員会議を行う。必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、地域包括支援センター職員、市関係課職員等の参加も依頼する。

 初期集中支援の実施

医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機付けや継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨・誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境の改善等の支援をチーム員会議で決定した方針に基づき行う。支援期間は、訪問支援対象者が医療サービスや介護サービス等による安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね最長で6ヶ月とする。

 引き継ぎ後のモニタリング

初期集中支援の終了はチーム員会議で判断し、地域包括支援センター職員や担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引き継ぎを行う。また、チーム員会議において、引き継ぎ後のサービスの利用状況などを評価し、必要に応じて、随時モニタリングを行う。

 支援実施中の情報の共有について

訪問支援対象者の情報を地域包括支援センターが把握した場合は、支援チームにその情報を提供する。訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類及び電子データ等は、適切に管理・保管する。

(3) 認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置

 認知症初期集中支援チーム検討委員会(以下「チーム検討委員会」という。)を設置し、初期集中支援の評価を行い、適切、公正かつ中立な運営の確保を目指す。

 チーム検討委員会において、支援チームの設置及び活動状況を検討する。

 早期対応を推進していくために、地域の意思統一の図れる仕組みを検討し、様々なところから訪問支援対象者を把握できるようなシステムと、介入後の支援体制をつくる地域の連携システムの構築を図る。

(チーム員の構成)

第5条 チーム員は、以下の第1号を満たす専門職2名以上、第2号を満たす専門医1名の計3名以上の専門職で編成する。

(1) 専門職は、次のすべてに該当する者とする。

 「保健師、看護師、准看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士」等の医療保健福祉に関する国家資格を有する者

 認知症ケアや在宅ケアの実務・相談業務等に3年以上携わった経験がある者

 国が別途定める「認知症初期集中支援チーム員研修」を受講し、必要な知識・技能を修得した者。ただし、やむを得ない場合には、国が定める研修を受講したチーム員が受講内容をチーム内で共有することを条件として、同研修を受講していない者の事業参加も可能とする。

(2) 専門医は、次のいずれかに該当する者とする。

 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ認知症サポート医であるもの

 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のあるもの

 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有し、認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っているもの

(チーム員の役割)

第6条 前条第1号を満たす専門職は、訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づく初期集中支援を行うために訪問活動等を行う。

2 前条第2号を満たす専門医は、他のチーム員を支援し、認知症に関して専門的見識から指導・助言等を行う。また、必要に応じてチーム員とともに訪問し相談に応需する。

3 訪問するチーム員数は、初回の観察・評価の訪問は原則として医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上で訪問する。

(訪問支援対象者)

第7条 訪問支援対象者は、原則として市内在住の40歳以上のものであって、在宅で生活しており、かつ認知症が疑われる人又は認知症の人で、次のいずれかに該当するものとする。

(1) 医療サービス、介護サービスを受けていない者、または中断している者で以下のいずれかに該当する者

 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

 継続的な医療サービスを受けていない者

 適切な介護サービスを受けていない者

 介護サービスが中断している者

(2) 医療サービス、介護サービスを受けているが認知症の行動・心理症状が顕著なため、対応に苦慮している者

(個人情報の保護)

第8条 チーム員は、個人情報保護法の規定等を踏まえ、訪問支援対象者及び対象者世帯の個人情報やプライバシーの尊重、保護に万全を期するものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(その他)

第9条 この告示に定めるもののほか必要な事項は、市長が別に定める。

この告示は、平成29年2月1日から施行する。

養父市認知症初期集中支援事業実施要綱

平成29年2月1日 告示第10号

(平成29年2月1日施行)