○養父市中小企業等振興基本条例

平成27年12月24日

条例第51号

養父市は、かつての明延鉱山の隆盛をはじめ、近代においては、養蚕業などの発展により、但馬地方の商都として繁栄してきた。また、古くから交通の要衝として、人、もの、情報、文化が行き交い、これらを先人たちが巧みに環境や風土と調和させながら、地域の産業を育んできた。

こうした産業の振興は、市内事業所の大多数を占める中小企業の弛まぬ努力によってもたらされたものである。また、中小企業は、地域経済を支えてきたばかりではなく、地域社会においてもまちづくりの担い手として重要な役割を果たしてきた。

現在、本市は、急激な人口減少とそれに伴う地域経済の縮小という、極めて困難な課題に直面している。この状況を打破するため、市政の基本方針「地域の新たな生命(いのち)を育むまち:産業を育み 人を育む」に基づき、地方創生を推進して行かなければならない。それにあたっては、中小企業者、市民、市、商工団体及び金融機関が協働し、国家戦略特区指定を追い風に、安心して働き続けられるしごとの場を創出することでひとの流れを市に呼び戻し、地域経済の活力を取り戻す取組を行っていくことが不可欠である。

中小企業者のなかでも小規模事業者が多数を占める本市において、小規模事業者の持続的な発展が、養父市創生のための最重要課題のひとつであることを確認し、地域ぐるみの取組により、市内経済の活性化と本市の発展に資するべく、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、養父市の中小企業等の振興に関する基本方針を定め、市、中小企業者等、商工団体、金融機関及び市民の役割を明らかにすることにより、中小企業等の振興に関する施策を総合的に推進し、産業基盤の強化による雇用の創出並びに地域資源の活用による持続可能な経済循環の創出を図り、もって健全で活力のある豊かな地域社会の創造並びに市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(2) 中小企業者等 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に規定する事業者及び同条第5項に規定する事業者又は店舗面積が500平方メートルを超える店舗であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 商工団体 商工会及びその他の商工業の振興に関わる団体であって、市内に所在するものをいう。

(4) 金融機関 銀行、信用金庫、信用協同組合その他の金融機関であって、市内に事務所を有する者をいう。

(5) 地域資源 特定の地域に存在し、その地域を特徴づける自然、生産・加工品、歴史・文化及び人をいう。

(基本方針)

第3条 中小企業等の振興は、企業者自らの創意工夫及び自主的な努力を基にして、市、中小企業者等、商工団体、金融機関及び市民が協働して推進することを基本とする。

(基本施策)

第4条 市、中小企業者等、商工団体及び金融機関は、第1条の目的を達成するため、前条の基本方針、養父市経済活性化戦略、経営発達支援計画及び創業支援事業計画に基づき、次に掲げる施策を行うものとする。

(1) 中小企業者等の経営基盤の強化を支援し、経営の向上及び改善、資金調達の円滑化を図ること。

(2) 中小企業者等の創業及び経営の革新の促進を図ること。

(3) UIJターンの推進等により、中小企業者等の事業活動を担う人材の確保及び育成を図ること。

(4) 中小企業者等の事業承継の促進を図ること。

(5) 中小企業者等の受注機会の増大及び販路の拡大を図ること。

(6) 地域資源を活用し、農商工連携の推進等による新たな商品、サービスの開発を図ること。

(市の役割)

第5条 市は、前条の基本施策を具体的に実施するために、国、県、商工団体、金融機関その他関係機関と連携、協力して、中小企業等の振興に関する施策を総合的に推進するものとする。

2 市は、前条の基本施策を具体的に実施するために、次に掲げる施策を講ずるものとする。

(1) 中小企業者等の経営の向上等を図るための財政上の施策

(2) 中小企業者等の資金調達の円滑化を図るための金融上の施策

(3) 中小企業者等の事業活動の促進を図るための税制上の施策

(4) 中小企業者等に対する技術的な支援及び経営指導その他の必要な施策

(5) 中小企業者等の人材確保及び人材育成のために必要な施策

(6) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

3 市は、物品及び役務の調達、工事の発注等に当たり、中小企業者等の受注機会の増大に努め、市内経済循環の創出に努めるものとする。

4 市は、中小企業等の振興に関する具体的な施策の立案に当たっては、中小企業者等及び商工団体からの意見聴取に努めるものとする。

(中小企業者等の役割)

第6条 中小企業者等は、社会経済環境の変化に対応し、自主的な努力と創意工夫により、経営基盤の安定及び強化並びに経営革新に努めるものとする。

2 中小企業者等は、雇用機会の確保、人材の育成、福利厚生の充実その他雇用環境の整備に努めるものとする。

3 中小企業者等は、その事業活動を通じて地域社会の活性化に資するよう努めるものとする。

4 中小企業者等は、商工団体に積極的に加入し、その事業活動に協力するよう努めるものとする。

5 中小企業者等は、市民生活及び環境と調和し、地域に根づいた事業活動を行うよう努めるものとする。

6 中小企業者等は、市民、商工団体、市等が取り組むイベント、まちづくり活動等に積極的に参画し、協働していくよう努めるものとする。

7 中小企業者等は、職業体験の機会の提供等を通じて、児童及び生徒の勤労観及び職業観の醸成に努めるものとする。

(商工団体の役割)

第7条 商工団体は、中小企業者等の自主的な努力及び創意工夫による経営向上の取り組みを積極的に支援するよう努めるものとする。

2 商工団体は、市、市民及び関係機関と連携及び協働して中小企業等の振興を進めていくよう努めるものとする。

3 商工団体は、中小企業等の振興のための事業活動を通じて地域社会に貢献するよう努めるものとする。

(金融機関の役割)

第8条 金融機関は、中小企業者等の資金調達に対する適切な対応のほか、中小企業者の事業活動に有用な情報の提供その他の方法により、中小企業者が経営の向上を図る取組に対する支援に努めるものとする。

(市民の理解及び協力)

第9条 市民は、地域における中小企業等の振興が市民生活の向上及び地域社会の活性化に寄与することを理解し、その健全な発展に協力するよう努めるものとする。

2 市民は、消費者として市内において生産、製造、又は加工される製品の購買と消費並びに市内で提供されるサービスの利用に努めるものとする。

(条例の普及啓発)

第10条 市及び商工団体は、第1条に規定する目的を達成するため、この条例の普及啓発に努めなければならない。

(検証及び評価)

第11条 市は、商工団体と連携して、中小企業等の振興に関する主な施策について検証と評価を行い、その結果を中小企業等の振興に関する施策に反映するよう努めなければならない。

(委任)

第12条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

養父市中小企業等振興基本条例

平成27年12月24日 条例第51号

(平成27年12月24日施行)