令和5年二十歳のつどい

更新日:2022年01月10日

二十歳という人生の大きな節目を迎えられた皆さま、誠におめでとうございます。

昨年4月1日の民法改正により、成年年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、これまでの「成人式」を「二十歳のつどい」と名称を変え開催する初めての年となりました。

成年とはいったいどのようなことなのでしょう。従来の「20歳」から「18歳」に変わりました。それまでの20歳と比較すると選挙権が2歳若くなりました。従前の20歳では駄目だったのでしょうか。18歳の方が良いのでしょうか。この変更には、若人、当事者の意見が反映されて法律改正がなされたのでしょうか。若者そのもの(当事者)の声、意見は反映されること無く、大人たちの独善的考え、思い、基準としての年齢のあり方等と、思い込みと一方的な議論の中で法律はできあがったのではないでしょうか。

17歳では駄目だったのでしょうか、16歳、15歳では駄目なのでしょうか。

未来社会の担い手として責任ある立場にある若者たちが、なぜ自分たちが主役、担い手となる未来社会の構築に重要な役割を果たすこととなる現在の政治的当事者たちの選挙に加わることができないのでしょうか。

私たちは地域づくりと言う意味で、あまりにも国政、国のあり方に無関心、無責任、あなた任せではなかったのではないでしょうか。

夢と希望に満ち、前途洋々たる200名の皆さんへ、心よりお祝いとお喜びを申し上げますとともに、ご家族の皆様、成長を見守っていただきました多くの皆様に、重ねてお祝いを申し上げます。

本日、ご多用にもかかわりませず、ご来賓の皆様にはご来席を賜り、このように盛大に「二十歳のつどい」が開催できますことを心より感謝申し上げますとともに、開催にあたり、準備等に携わっていただきました実行委員の皆様に深く感謝申し上げます。

さて、昨年を振り返りますと、北京で開催された冬季オリンピック・パラリンピックにおける日本選手団の活躍、サッカーワールドカップにおいて優勝経験のある強豪のドイツやスペインの撃破など,熱戦を繰り広げた日本選手の姿に、多くの感動と勇気をいただきました。

一方で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、大国の独裁的指導者による独善的考えにより、罪のない非戦闘員を含む多くの人々の命が失われ、多くの難民を生み、世界を戦禍のどん底に突き落としました。

国際秩序の揺らぎは世界中の国々、人々に大きな驚きと悲しみ、恐怖と不安を抱かせるところとなりました。

長引く、コロナ禍、世界的な食料・エネルギー不足や諸物価高騰、極端な円安、長引く低成長社会など、経済と国民生活の先行きは不透明さが続く状況ですが、人の英知は、こうした困難を克服し、新しい希望に満ちた社会を実現できると信じています。

一昨年策定しました、養父市まちづくり計画では、 2050年においても活力があり、生き甲斐と希望が持て、快適に住むことができる養父市を持続的に維持するため、2030年までに何を行っておかなくてはならないかを定めています。

この計画の主人公は、養父市の未来を担う二十歳の皆さん一人ひとりです。養父市で生まれ、育った皆さんには、国の発展、人類の幸せのための貢献していただくことも必要ですが、大切なふるさと養父市を守っていただくことも大きな責務としてあります。

養父市の最大の課題は少子化です。少子化は養父市だけに起きていることではありません、日本全体に起きています、兵庫県でも起きています。令和4年の1年間に日本で産まれた子供の数は80万人を割り70万人代になったと言われています。兵庫県における二十歳を迎えた人の数は今から約30年前(1994年)は約9万5600人でしたが、今年(2023年)は約5万4600人となっています、約60%(57%)の減少です。

少子化は、将来の国や、地域の担い手、経済社会活動の主役が少なくなることを意味しています。少子化は更なる少子化を招き、この負の連鎖が続けば何れ国から、地方から人がいなくなります。人口減少は経済の縮小を招き、国土は守れなくなります。国の衰退につながります。国や地域の存続が持続できなくなるということです。

私たち地方自治体は少子化と人口減少に数十年前から危機意識を持ち取り組んできましたが、国は10年ほど前から重い腰を上げ地方創生を重要施策として打ち出しました。いわゆる、少子化対策としての地方への移住定住支援、若者支援、子育て支援、教育支援等です。

そのような中で、国全体の人口減少が進む中において、少子化・人口減少は地方における問題ではなく、都市部においても大きな課題となってきました。従来、子育て支援等は地方部が優先的に取り組む特徴的な施策でしたが、今では大都市においても同じような施策を行うようになりました。

報道によれば、東京都においては、東京都内に住む18歳未満の子供全てに月5千円の支援を行うとの知事発言がありました。私から見れば、全く、大都市の暴挙としか思えない、自分だけが良ければ、東京だけが良ければとの発想による、国を潰しかねない暴挙といわざるを得ません。東京都の税収は、東京都民だけで得た税収ではありません。全国の人々が汗を流し働き得た利益の多くが東京に本社を置く企業の利益となり東京都の税収となっているのです。

国には、もう少し毅然とし、子育て支援を国の施策として行っていただきたいと考えています。このままでは、税収のある強い大都市部のみが勝ち残り、地方創生は困難となり、地方と大都市の格差は益々拡がり、地方の力を削ぎ取り、地方が消滅する社会を創ることになります。

この様に、何十年もの間、いずれ訪れるであろう日本の国の衰退、地方の消滅につながることが身近に起きているにもかかわらず、また分かっていながら、その時々の生活の豊かさ、眼前の安楽に満足し、身を任せ、いずれ訪れる危機に備えることをしなかった、そうして、今もそのことが身近に迫っているにもかかわらず、目先のことのみを語り、未来のことを考え語ろうとしない、大人たち、大人社会に、今日ここに集まっている二十歳の皆さんは、「我々の大切な未来を、活躍できる社会を、持続可能な形で残してくれ」と、声を大にしていうべきであると考えています。

怠惰に浸り変化を求めず、惰眠をむさぼり続けている現在社会に目覚めを促すべく一石を投じる、若さという素晴らしい宝を持っている、二十歳の皆さんだから出来ることなのです。

社会の理不尽さを正す、努力が報われる、そのような社会モデルを養父市から創るため、共に一石を投じたいと考えています。

SDGsがいわれています。まさしく、地域社会におけるSDGsを行わなければなりません。

そのために、二十歳の皆さんが、未来の養父市、国のことを真剣に考え議論し大人社会に訴えなければなりません。

以上のようなことが容易に解決できる問題とは考えていません。しかし、難しい問題であることを知りつつも事実に即し、知恵の限りを尽くして粘り強く時間を掛けて戦い続け、未来に対する責任を民主政治と共創の誇りを掛けて市民と共に成し遂げ続ける、それが「新たな挑戦」をまちづくりの行動理念とする養父市の市政運営です。

社会全体が成長期にあり、成長の原動力として社会の一員にあるときは社会全体の価値創造が人々の価値創造につながっていましたが、経済が豊かになり、必要なモノやサービスがあふれ、成長がある一定に達し成熟化した現在の社会においては、あらゆる物事に対し一人ひとり意識的にポジティブ(前向き)な価値を見いだしていくこと、新たな価値の創造をすることが求められています。

現代から未来へ生きる皆さんは、生きていく上で、それぞれ一人ひとりが日々のあらゆる出来事や物事に前向きに取り組んでいただき、新しい自身の価値を見つけていただく、創り上げていただく、そのことが必要です。

自由な発想力、豊かな想像力、失敗を恐れない、新しいこと、やりたいことに積極的に挑戦する、そのような皆さんに養父市は寄り添い、共に歩み、共に戦います。

終わりになりましたが、本日、人生の大きな節目を迎えられた200名の皆様の輝かしい前途を祝すとともに、益々のご健勝とご多幸をご祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします。

 

令和5年1月8日

養父市長 広 瀬 栄

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