令和3年度 施政方針

更新日:2021年02月25日

令和3年2月25日、第105回養父市議会(定例会)に市長が説明した施政方針を全文掲載します。

 

はじめに

本日、第105回養父市議会定例会を開会いたしましたところ、議員の皆さま方におかれましては、ご健勝にてご出席賜り、令和3年度予算案をはじめとする市政の重要課題につきまして、ご審議いただけますことに感謝し、厚くお礼申し上げます。

それでは、令和3年度の各会計予算をはじめとする諸議案のご審議をいただくにあたり、市政運営につきまして、所信の一端と、重点施策の概要について申し述べ、議員各位並びに市民の皆さまに対しまして、ご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

昨年の市長選挙におきまして、市民の皆さまより4期目の市政運営を担うことへのご信任をいただき、平成20年の初当選から13年目を迎えております。

3期12年の成果を出す4期目最初の年であると、新たな感慨と緊張感をもって臨んでまいります。

また、養父市が誕生してから17年が経過しました。困難を乗り越え、合併を成し遂げられた先人の志を引き継ぎ、合併に求められた理想の実現を明確にする時でもあります。

私がこれまで市政を担ってきた3期12年は、一貫して養父市が抱える根源的課題である、急速に進む少子化、人口減少問題の克服と地域経済の活性化による持続可能なまちづくりをテーマに取組みを進めてまいりました。

これらの課題を克服していくため、総合計画、総合戦略を策定し、実行するとともに、国家戦略特区の指定を平成26年に受け、様々な規制緩和を活用したまちづくり施策を展開し、着実に実績を積み重ねることにより、時代のニーズに適合した新たな事業領域を模索する多くの企業から、特区自治体の養父市で新たな事業領域の開発と展開を図りたい、チャレンジしたいという申し出をいただくようになりました。

これは、日本が成長社会から人口減少、低成長、成熟社会へと移行する中で、急激に広がる経済と所得、教育、医療などの都市と地方の格差是正と、地方の自主自立へと、養父市が日本の国を変える、国の在り方を変えるとの強い思いのもとに取組を行ってきたからであり、まさしく、そのような地域の将来への大きな課題を抱える養父市から日本を変えることにより持続可能なまちづくりを行うことが必要と考え、令和3年度はそれらの取り組みをさらに進めてまいります。

さて、昨年は、未曽有の国難ともいうべき新型コロナウイルス感染症により、地域経済は大きな打撃を受け、市民の日常生活は一変させられました。未だ、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、引き続き、市民生活や市内の経済活動を支えるとともに、新しい生活様式へ対応した施策を進めていくことが求められています。

この新型コロナウイルス感染症が収束した後には必ず、新しい社会が構築され、困難を乗り越えた先には、希望に満ちた、ある部分で我々にとって大きなチャンスが訪れると考えております。新しい時代における生活や仕事のあり方として、テレワークが推奨され、生活や生産等すべての分野においてICTを駆使する中で、経済や所得、教育、医療などの都市と地方との格差が埋まる、また、我々がその格差を埋める努力をすることにより実現が図られます。

経済と所得、教育、医療など、都市と地方の間に存在するこれらの格差を、是正することによって地方が住みやすく、いわゆる地方創生が実現できる、そういう社会を作り上げることができると考えています。今まで我々は社会の発展ということを考えてきましたが、社会が進めば進むほど都市と地方の格差があらわになり、拡大してきていると感じております。

これからの時代は、都市と地方の間にある、経済と所得、教育、医療などの格差を縮める、そのことが本当の意味での社会全体の発展と新しい時代の確かな展望へと繋がってくるのではないかと考えております。

ウィズコロナからアフターコロナへと従来の生活のあり様、常識から一歩進んだ新たな発想が活かされる新しい時代が、間違いなく足元に近づいてきています。そのことに我々は気付くべきだと思います。

さて、国の動向に目を向けますと、毎月内閣府がまとめる月例経済報告(令和3年1月)には「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、感染拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。」とされています。

また、第32次地方制度調査会による「2040年頃から逆算し顕在する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申」には、見込まれる変化・課題を、人口構造、インフラ・空間、技術・社会などに分けて整理されております。その中で、「地域の未来像の議論として、今後の変化やリスクに的確に対応し、持続可能な形で行政サービスを提供していく必要があり、その際、現在の状況や課題、今後の変化の現れ方は多様であることから、行政、議会、住民に加え、コミュニティ組織、NPO、企業等の地域社会を支える様々な主体がともに、資源制約の下で何が可能なのか、どのような未来を実現したいのか議論を重ね、ビジョンを共有していくことが重要である。」と記載されております。もちろん、この答申には、行政のデジタル化やAIの活用といったことも記載されておりますが、地域が一体となって議論を行い、同じビジョンを共有する、このことがとても重要であることを明らかにするとともに、市長として実感しているところです。

 

1.市政運営の基本方針

それでは、令和3年度の市政運営の基本的な考え方につきまして、述べさせていただきます。

新型コロナウイルス感染症から市民を守り、安心できる暮らしを取り戻すため、感染予防と感染拡大の防止に努めてまいります。

さらに、コロナ禍により落ち込んで低迷している地域の事業者支援と経済活性化、市民生活の支援に全力で取り組んでまいります。

また、令和3年9月には、一昨年より建設が始まった養父市文化会館が、名称を「やぶ市民交流広場」、愛称を「YB(ワイビー)ファブ」として完成いたします。イノベーションと活力あるまちづくりに必要なのは共感と偶然性です。養父市の新しい文化施設における様々な活動を通じて、「市民」が市民同士だけでなく、市外や県外、また海外の人々と「交流」することで文化的で、かつ、豊かな人生を送るために、気軽に立ち寄ることができる「広場」となってほしいという願いを込めた名称で、人と文化と郷土をつなぎ、未来を創る学びと交流の拠点となり、市民の参加、参画により文化芸術振興の場、生涯学習の場、情報発信の場、まちづくりの場、市民の憩いの場として活用され、「知と創造の拠点」、地方創生の拠点として市民の皆さまと共に成長していくことができればと考えております。

さて、令和3年度の「市政テーマ」は、

「市民総活躍による まち・ひと・しごと・ふるさとの創生

~大胆な挑戦から、確かなイノベーションを~」

といたします。

「まちづくりの3つの柱」は、養父市日本一へのまちづくり宣言条例で宣言しました

1.日本一 農業をしやすいまち

2.日本一 子育てをしやすいまち

3.日本一 福祉が充実したまち

といたします。

 

2.予算編成の基本方針

次に、令和3年度の予算編成の基本的な考え方につきまして、ご説明申し上げます。

歳入は、国の地方財政対策として、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税等が大幅な減収となる中、地方公共団体が行政サービスを安定的に提供しつつ、防災・減災、国土強靭化の推進などの重要課題に取り組めるよう、地方交付税等の一般財源総額について、実質令和2年度を上回る額を確保するとされております。このことから地方交付税については、増額の見込みです。

一方で、市税については、新型コロナウイルス感染症の影響により減額となる見込みです。

歳出におきましては、デジタル化によるメリットを享受できるように地域社会のデジタル化を集中的に推進していく経費、新型コロナウイルス感染症の対策経費、近年の気象災害が大型化・激甚化、頻発化していることに対応するための強靭化経費等が多く必要となっております。

将来にわたって活力ある地域社会を実現していくためにも、戦略的な事業の組み立てを行い、市民ニーズへの対応、費用対効果及び誘発効果等の向上を図り、EBPM(Evidence-based Policy Making・エビデンスに基づく政策立案)をこれまで以上に意識し、ワイズスペンディング(賢い支出)の徹底に努めていく必要があります。

地方創生の強力な推進、やぶ市民交流広場を核とした文化芸術の振興、新型コロナウイルス感染症対策を含めた市民の安心・安全を守る、コロナ後の新しい時代を見据えた社会づくりといった視点に立ち、編成しました令和3年度の一般会計当初予算額は、前年度予算額207億2,000万円に対しまして、4.8%減の197億3,000万円を計上いたしております。

次に、特別会計についてでありますが、令和3年度当初予算は、前年度予算額78億7,600万円に対しまして、2.5%減の76億8,300万円を計上いたしております。

企業会計についてでありますが、令和3年度当初予算額は、前年度予算額43億3,900万円に対しまして、1.7%減の42億6,500万円を計上いたしております。

この結果、一般会計と特別会計及び企業会計を合わせた予算の総額は前年度の当初予算総額329億3,500万円に対しまして、3.8%減の316億7,800万円を計上いたしております。

 

3.主要な施策

それでは、まちづくりの3つの柱および新型コロナウイルス感染症対策、国家戦略特区の推進について、その概要をご説明申し上げます。

一つ目の柱「日本一農業をしやすいまち」について申し上げます。

国家戦略特区に指定されている養父市の農業経営体は、企業による農業参入も可能で多様性に富んでおり、専業農家、兼業農家、小規模農家、家族農業、集落営農、大規模・中規模農家、企業など、様々な主体が活躍できる農業施策を展開しております。

このような中、農業の担い手となる新規就農者の定着を促すため、新規就農者支援事業に取組み、就農希望者と市内農家とのマッチングを行い、農産物の栽培管理や農業経営技術などに関する研修を行うとともに、人・農地プランなどの中心経営体に位置付けられた就農者に農業次世代人材投資資金の交付を行ってまいります。

また、担い手総合支援事業において、営農面積や営農所得の拡大を行った農家や傾斜地など条件不利益地において活動を行う農業者に補助金の交付を行うとともに、有害鳥獣防護対策としてシカやイノシシ等の獣害に加え、近年カワウなどの鳥害も増えていることからドローンを活用した被害防止に取り組んでまいります。

林業振興につきましては、自伐型林業研修を行うなど、引き続き自伐型林業家の育成支援を行うとともに、航空レーザー測量とAI解析等から得た推定境界線データを搭載した森林経営管理システムの導入を進めてまいります。

畜産振興につきましては、但馬牛のブランド力強化や飼養頭数を増加させるため優良雌子牛導入・保留補助金の交付など行ってまいります。増頭に伴う畜産廃棄物の処理と、これらを活用した有機の里づくり(循環型農業)を目指し、堆肥センターの整備についても検討してまいります。

次に、二つ目の柱ですが「日本一子育てをしやすいまち」についてです。

厚生労働省が発表した人口動態統計速報を見ると、2020年の出生数は前年を大きく下回り、83万人から84万人台となる見込みとされています。2021年は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、80万人台を割り込むとの試算もされています。

人口の減少や少子化、高齢化に伴い、結婚、不妊、妊娠、出産、子育て、医療、福祉などに対する関心とニーズは年を追うごとに高まり、多様化していく中で、社会全体で支え合う施策の展開が求められております。

また、養父市で育つ子ども達が、夢と希望に目を輝かせ、楽しく学べるように発達段階に応じた保育環境、きめ細やかな学習指導や英語学習の充実、郷土愛を育む先人教育など学校教育の充実、さらには、ICTを活用し創造力を発揮し、主体的に学ぼうとする子ども達を全力で応援してまいります。

令和3年度より、子育て世代の精神的・経済的負担を軽減するため、国が実施している保育無償化の対象とならない0歳児から2歳児までの子どもについて、市独自の施策として保育料の無償化を実施することで、乳幼児保育の完全無償化を行い、あわせて多様な保育環境を支援するため、在宅で育児を行う家庭に対し、子ども一人当たり、出産の翌月から1年間は月額10,000円、2年目は月額5,000円の給付金を支給します。このことにより、一層の子育て支援の充実を図ります。

学校給食費の負担軽減についても継続して実施いたします。

また、子ども達が様々な社会的変化を乗り越え生きていく力を身につけるため、これからのデジタル社会に対応する能力を高める教育を実践してまいります。そのために、1人1台のタブレットを配置して、ICTを効果的に活用し、子ども達一人ひとりの多様な理解力や能力に合わせた学びの実現をめざします。

GIGAスクールサポーターと学校が連携し、学校と家庭をつないだ新しい学習環境の仕組みや整備など、新しい教育への取り組みを支援するとともにネットを使った人権問題や犯罪に巻き込まれないため、情報モラル(情報倫理)や情報セキュリティポリシー(情報やコンピューターシステムを安全に保つルール)の習得と育成を図ってまいります。

また、小学校、義務教育学校4年生から6年生を対象として、学習意欲の高い児童や経済的・家庭的な理由から学習塾に通えない児童に、無償で誰もが通うことが出来る「土曜学習教室」を試行的に開設してまいります。

さらに、「土曜学習教室」の成果を踏まえ、コミュニティスクールを中心とし、地域が一体となった放課後における、子供の教育のあり方について検討を行ってまいります。

家庭の事情にとらわれることなく、子ども達の学びたい意欲、夢に向かって頑張ろうとする意欲をより高めていく場を創出してまいります。

次に、三つ目の柱ですが「日本一福祉が充実したまち」についてです。

誰もが住み慣れた地域に安心して幸せに暮らし続けられる地域社会の実現を目指し、行政による福祉サービスのみならず、地域の支え合いによる問題解決に取り組んでいくことが重要であると考えております。

障がい者やその介護者に対する相談支援体制を強化し、障害の有無にかかわらず市民が地域で安心して生活できるように地域の相談支援の中核的な機能を担う、基幹相談支援センターを設置いたします。

誰もが性別や年齢などにとらわれることなく、お互いの人権を尊重しながら、それぞれの個性と能力を十分に発揮できる共同参画社会づくりを目指し、住みやすく、働きやすいまちづくりを進めてまいります。

さらに、市民総活躍社会の実現のためには、女性リーダーの育成、女性のライフスタイルに添ったキャリア支援、女性の参画を可能とする環境整備も必要となります。

人口減少における都市消滅の原因は少子化であり、将来、子どもを産み育てることができる世代の女性が減り続ける地域は消滅の可能性があると言われています。地方創生の主役は、若い世代の女性なのです。

養父市で生まれ育った女性が成人しても養父市に住み続けてくれる、また、養父市以外に生まれ育った女性が養父市に住んでみたい、そのような未来を担う若い女性たちが世間に遠慮することなく、人の目をはばかることなく、能力を発揮できる男女間における潜在的な格差を感じることのない、居心地の良い養父市づくりの実現を目指します。

また、市民の全てが幸せに暮らすためには、一人ひとりが自分だけの幸せを求めるのではなく、みんながみんなの幸せを求めることが大切です。それぞれの人が持つ「無意識の思い込みや偏見(アンコンシャス・バイアス)」を認識し、見直していくことが必要です。これまでも様々なセミナーを開催し、意識啓発を行っておりますがまだまだ浸透していないと考えております。今後も、人権啓発や女性活躍セミナーなどを、市民(団体)等と連携、協力して開催してまいります。

次に、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。

昨年突如として猛威を振るい始めた新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に全世界でパンデミックを引き起こしました。感染力の強い新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、人と人の距離をとる、往来を自粛するなどの対策が取られ、結果として経済活動の低迷が生じ、社会全般が厳しい環境に置かれることとなりました。国を挙げての緊急事態宣言などの感染予防、拡大防止対策が行われ、また、ワクチン開発とその接種が行われ始めるなかで、少しずつ鎮静化に向きつつあるようですが、まだまだ、予断を許さぬ状況ではあります。幸い、養父市では感染者の発生がない模様です。市民の皆さまの感染防止へのご協力に感謝いたします。

今後は、新しい生活様式のもと、新しい時代到来に向けて、私たちは、ニューノーマル(人間活動の新たな常態)への適応を進めて行く必要があります。

令和3年度も高い緊張感と危機感を持って、市民の健康と命を守るため、感染予防に全力で取り組みます。

新型コロナウイルス感染症対策として、サージカルマスク、手指消毒剤や防護服などの備蓄品を整備するとともに、小学校・義務教育学校、中学校やこども園における備品整備等継続して進めてまいります。

また、経済対策として、観光入り込み客数を増加させていくため、観光地誘客促進事業やテレワークの導入や都市部からの事務所移転などを促進するふるさと企業誘致事業などの実施をしてまいります。

令和3年2月より準備を進めておりますワクチン接種につきましては、迅速かつ安全に接種業務を進めてまいります。具体的な接種のあり方、方法などについては、適切に市民の皆さまに周知してまいりますので、よろしくお願いいたします。

次に、国家戦略特区について申し上げます。

平成28年9月に5年間の時限措置として認められた「企業による農地取得の特例制度」は、地域農業に変化をもたらせました。6社で1.64ヘクタールの取得面積ですが、これら企業の参入により、耕作放棄地の復活、地域雇用の創出、また、企業の農業経営規模の拡大と順調にその歩みを進めております。

養父市のような中山間地域は、国土の約70%を占めており、その中には、日本の農地の約40%が存在し、国民の食糧供給や国土保全などで、重要な役割を担っていますが、今、地理的条件の不利益さや経営規模などの問題で、後継者不足と担い手の高齢化により、耕作放棄による農地の荒廃が急速に進んでいます。水田農業を中心とする農業は、まち形成のもとであり、生活、文化のもとでもあります。農地の荒廃は、農業の衰退、まちの荒廃にもつながります。私たちの誇りとする大切な養父市を守り、まちを守り、養父市創生を成し遂げるためには、農地を荒廃から守り、農業を守る必要があります。養父市の国家戦略特区は、そのような養父市の状況を鑑みて、現在の農業制度では限界に近いと考えられる担い手農家確保のあり方に一石を投じたものです。多様な農業経営体の担い手を新たな発想により確保し、日本農業の持続を積極的に図ろうとする壮大な取組で、その成果は、視察に来られた多くの政治家、企業家、学識者などから高く評価されているものです。

現在は、期限延長、全国展開に向けた議論が国会で行われるなど、養父市から日本の農業のあり方を変えるような状況を生み出しております。

今後とも、従来の決められた枠組みの中で苦しい農業を展開していくのではなく、地域に最適な農業の姿を提案していきたいと考えております。そのためにも、農業を営む皆さまのご意見を伺い、地域農業のあり方をしっかりと考えてまいります。

また、分野を問わず、国家戦略特区制度をフル活用し、地方創生の歩みを進めてまいります。

さらには、令和3年度より市政テーマに「大胆な挑戦から、確かなイノベーションを」と、サブテーマを設けました。地方創生に向けて、挑戦から一歩先に歩みを進めていきたいと考えております。

人口減少が続いている状況下において、若者の定住促進による市の活力の維持・創造が大きな課題となります。民間事業者と連携しながら、宅地開発支援事業や空家等対策事業など積極的に進めてまいります。

また、近年の気象災害は、地球温暖化の影響もあり、大規模化・激甚化、頻発化し、河川の氾濫や山地土砂災害は「いつ起きるともわからない危機」と言われています。国の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を推進するとともに、県の実施する防災インフラの整備を加速化するため、市としても積極的に協力し、治山・砂防及び急傾斜崩壊対策や河川堆積土砂の撤去等、防災・減災対策を強力に進めてまいります。

コロナ禍を機に、新たな働き方として、一層注目が集まっているワーケーションを養父市固有の地域資源である山と雪、スキー場等を活かした独自のスタイルで提供するとともに、企業の社員研修についても同様のコンセプトでの展開を進めてまいります。市内企業が抱える課題解決に向けて、連携いただける都市部の企業とのマッチングを促進するため、新たなワーケーションのスタイルの構築を目指して「養父市版ワーケーション事業」を展開してまいります。

また、関宮地域局周辺の老朽化施設の解体を進めるとともに、跡地を市役所、公共交通、保健、医療、福祉、若者定住、子育て、商業などが備わった小さな拠点と位置付け、関宮地域の活性化が図られるような土地利用構想を策定してまいります。

 

4.市政運営の執行体制

次に、令和3年度の執行体制についてであります。

少子高齢化の進展による人口減少や多様化・複雑化する市民ニーズに加え、今回のコロナ禍を機に、社会構造や人々の価値観は大きく変容してきています。

このような社会情勢が日々変化する中にあって、最適な市民サービスを迅速に提供していくためには、市民や事業者、地域団体と連携・協働して、ともにまちづくりを進めていくことが、以前にも増して必要となっております。

こうした状況を踏まえ、平成30年度から、養父市では、経営力強化を図るため、行政経営(マネジメント)を導入し、経営の仕組み構築に向けて進めてきました。今年度は、構築した仕組みを実践する年と位置づけ、地域社会の安定と発展に貢献できる組織に変容していくよう全庁的に取り組んでまいります。

養父市創生のため、市民に成果が残せる市役所となるため、養父市の課題解決に向け、全庁的に取り組むことができる効果的な執行体制といたします。また、VUCA(ブーカ・社会やビジネスにおいて、将来の予測が困難になっている状態)の時代と言われる今、臨機応変に対応できるアジャイル型組織(迅速な意思決定や良好なPDCAサイクルを可能とする組織)を目指してまいります。

やぶ市民交流広場(養父市文化会館)の建設に伴い、本年2月に答申を受けた「養父市文化会館(仮称)を新しい出会いの場とするための基本計画」をもとに文化芸術施策を推進し、「知と創造の殿堂」、地方創生の拠点とするために、文化芸術担当部長を配置し、文化芸術推進室を新設、専任のプロデューサーを配置することで、文化芸術の振興を積極的に推進してまいります。

ドイツのメルケル首相は、コロナ禍において、「連邦政府は芸術支援を優先順位リストの一番上に置いている」とした上で、「私たちは様々な心の動きと向き合うようになり、自ら感情や新しい考えを育み、また興味深い論争や議論を始める心構えをします。私たちは文化芸術によって過去をよりよく理解し、また、まったく新しい眼差しで未来に目を向けることもできるのです。」といった発言をされております。

文化芸術は創造(クリエーション)、想像(イマジネーション)、コミュニケーションなどの能力を育てることに加え、社会的包摂機能を有するとされています。多様化した現代社会においてその重要性は高く、養父市においても積極的に進めてまいります。

また、近年の空き家バンク、分譲地整備補助事業など移住定住に関する需要の高まりがあることから、土地利用未来課とやぶぐらし課に分散している移住定住関連業務を土地利用未来課に一元化し、さらなる需要の掘り起こしを行ってまいります。

合併以降職員数が減少している地域局の活性化を図るため、大屋地域局に地籍調査課、関宮地域局に文化財担当を配置いたします。

現在、国の方針によりデジタル化、自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)が進められており、デジタル化に向けて、ITなどの専門的な知識を持つと同時に、国や県、民間事業者、市役所の各部局と包括的な調整を行えるアーキテクト人材の登用を行ってまいりたいと考えております。これにより、一層のスピード感を持ってDXを進めてまいります。

 

むすびに

以上、市政運営に関する所信の一端と、令和3年度当初予算案などについて申し上げました。

今から50年前、1970年に日本万国博覧会が大阪で開催されました。大阪万博のシンボルであった太陽の塔を作製された芸術家の岡本太郎さんは、「壁は自分自身だ」と述べられています。

人はできないことの理由を、環境や他人のせいにしがちです。どんな環境でも、それを、どう感じ、どうしようとするのか、全ては自分自身で決めて進んでいかなければなりません。

自分には能力がない、歳だから、若いから、男性だから、女性だからなど、自分の限界を創っているのは、いつも自分自身ではないでしょうか。生活をする上で、色々な束縛を課され、知らず知らずのうちに、自分自身を、枠にはめてないでしょうか。これが自分の限界だと思い込んでしまっているのではないでしょうか。

また、余裕を持ちたいということは大切なことです。しかし、限界を決めて範囲を小さくして余裕を作る、これは余裕ではありません。必死にチャレンジして能力やキャパシティを広げることで生まれるのが余裕であると考えております。

心地いい環境に浸っているだけでは、どんどん余裕もなくなり、進歩どころか、退化していくことになりかねません。

そのためにも、市民一人ひとりが、自分自身を信じ、力を最大限発揮できる、その上で、互いに支え、助け合える、「安心」と「希望」に満ちたまちづくりを進めてまいりたいと考えております。

コロナ禍において、地域コミュニティの醸成や地域経済の低迷が大きな課題となっております。しかし、我々は、地域経済や地域コミュニティを早期に回復させるためにも、新型コロナウイルス感染症のまん延を全力で食い止める義務があります。

作家の瀬戸内寂聴さんは「コロナはあの戦争と匹敵するくらい、大きな変わり目になる。」と言われました。人々は、大戦により多くの命を失い、壊滅的な廃墟の中から、失望と失意と貧困を乗り越えて、今の繁栄を築きました。人の英知は、必ずや、この困難を克服し、乗り越え、希望に満ちた新しい時代を築き上げるものと確信しています。

令和3年度は、市長に就任し4期目最初の予算編成となります。これまで取り組んできた様々な挑戦をさらに進化させるとともに、但馬の養父市から、新たな社会的価値や経済的価値を生み出すイノベーション、新しい風と波を起こしていきたいと考えております。

引き続き令和3年度も、勇気を出し、元気を出し、養父市創生を実現させるため、市民の皆様とともに市政運営に打ち込んでまいります。

議員各位を始め、市民の皆さまのなお一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、令和3年度の施政方針といたします。

 

 

令和3年2月25日

養父市長 広 瀬 栄

 

この記事に関するお問い合わせ先

秘書課
〒667-8651
養父市八鹿町八鹿1675
電話番号:079-662-3168
ファックス番号:079-662-7491